研究実績の概要 |
最終年度は、引き続いて以下を実施し、赤外ファイバー技術をレーザー分光・ヘテロダイン分光・フーリエ分光技術と結合した次世代赤外分光の技術基盤を確立した。 (A) 赤外線ファイバーの光路結合・分割技術開発:(a1/a2)レーザー・ヘテロダイン分光システムの実機構築に着手し、想定光学系におけるコヒーレントなレーザー光およびインコヒーレントな黒体・太陽光による伝送効率の実証確認を実施した。(B) 分光システムへの結合: (b1/b2)レーザーヘテロダイン分光:ミラーを多用し大型・複雑な従来光学系から離れ、同等のシステム雑音温度(10μmでショット雑音限界に迫る約3,000 K)を実現可能な小型レーザー分光系・ヘテロダイン分光系の開発を行うとともに、仙台市天文台の協力を得て自然光である金星の試験観測を実現。(A)(B)を併せて学会講演(大畑+ 2023,2024)で成果報告を行った。(b3)グレーティング分光:CdZnTeイマージョングレーティングの10-19μmでの屈折率精密測定を目指し、光源部・検出器部に中空ファイバを用いた新光学系を設計製作。従来にない精度で屈折率測定法を実現。学会講演(榎木谷+, 2023,2024;生駒+, 2024)で成果報告を行った。(b4)フーリエ分光:ハードウェア・ソフトウェアの評価・改修を進め、外惑星想定の低温環境下におけるエチレン・SO2・N2O等固体の赤外スペクトル測定を実現。査読論文(Koga+ 2023)および学会講演(根岸+, 2023;高間+, 2024)でまとめた。さらに、広帯域感度を有するボロメータアレイと真空動作可能なピエゾアクチュエータにより、より広波長範囲(4~18μm)のイメージングスペクトルが取得可能な、特注自由曲面鏡2つを用いた真空対応波面分割型位相シフト干渉計の光学・機械設計とソフトウェア・ハードウェアの製作を行った(趙+, 2024)。
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