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2021 年度 実施状況報告書

2台の超伝導重力計を用いた重力水平勾配観測による地震即時重力変化の検出

研究課題

研究課題/領域番号 21K18644
研究機関東京大学

研究代表者

今西 祐一  東京大学, 地震研究所, 准教授 (30260516)

研究分担者 西山 竜一  東京大学, 地震研究所, 助教 (10835101)
研究期間 (年度) 2021-07-09 – 2024-03-31
キーワード超伝導重力計 / 地震即時重力変化
研究実績の概要

2021年度は,研究のフィールドである長野県松代の重力観測点に,2台目の超伝導重力計を導入することに注力した.当初の計画では,岩手県奥州市の国立天文台で稼働している超伝導重力計(TT70型)を移設する予定であったが,その装置がほかの機関に譲渡されることになり,本研究では使用することができなくなった.そのため,沖縄県石垣島にあるべつの超伝導重力計(CT型)を移設することに計画を変更した.この変更にともなって超伝導重力計のデュワーのサイズが変わったため,松代にある既存の冷凍機用基台が使えないことになった.このため,冷凍機用基台を解体,撤去する工事を実施した.また,天井からの漏水対策の工事,および坑道内に棲息するコウモリ対策の工事を,それぞれ実施し,受け入れ態勢を整えた.一方,石垣島の超伝導重力計では,圧縮機のファンの故障や冷媒ガスのリークといったトラブルが続出して,それらの処置にも追われることとなった.2022年3月,ようやくすべての準備が整い,重力計の松代への移設を実施した.移設の直後,磁場の調整を行なったが,電流源に問題があり,磁場の勾配を十分に弱めることができなかった.現在は,磁場の勾配が標準よりやや強い(開回路での感度が低い)状態での観測が行われている.傾斜などの各種制御システムは正常に稼働している.冷凍機について,フレクシブルホースなどでのリークがないことを確認するため,圧縮機(空冷式)を重力計から遠くない場所に置いた.このため,排熱がこもって観測室内の温度が上昇した.現在は,仮の配置として,観測室のドアを半開にした状態で坑内の空気を取り入れることで,それ以上の温度上昇を抑制しているが,坑内の気流しだいで影響を受けるため,必ずしも安定した温度環境とはなっていない.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

「研究実績の概要」に記したように,当初予定していた装置を使うことができなくなったため,観測室の整備に時間を要した.また,代替の装置にもトラブルが発生し,予定外の修理や調整作業を行うことになった.設置じたいは年度内に完了したものの,磁気浮上の電流調整はまだ仮のセッティングであり,十分に感度を高めた状態での観測を開始するに至っていない.もう1台の重力計iGravとのデータの比較により重力水平勾配を評価することは,まだ適切にできる状態ではない.

今後の研究の推進方策

一般に,超伝導重力計のような装置の場合,パフォーマンスを最大限に発揮させるように各種調整を完了するのには,数ヶ月から1年程度かかる.今後,磁場の再調整だけでなく,電源まわりやデータ収録などを含めた全システムの最適化をすすめていく.また,冷凍機に関して,フレクシブルホースを延長して圧縮機を坑道入口付近へ移動し,観測室内の温度環境を整える.2台の重力計について周波数特性の測定を行い,ハードウエア/ソフトウエア両面において重力水平勾配の精密観測に向けた改修を進めていく.機械的ドリフトを検定するための絶対重力測定も,年間に2回程度の頻度で実施する.

次年度使用額が生じた理由

松代での設置作業において,新型コロナウイルスの影響もあってなるべく人員を絞ったため,主に旅費の使用額が当初計画を下回った.2022年度以降,絶対重力測定などにおいて,適切に使用したい.

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 超伝導重力計CT #036の石垣島から松代への移設について2022

    • 著者名/発表者名
      今西祐一
    • 学会等名
      東京大学地震研究所特定共同研究(B)研究集会

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公開日: 2022-12-28  

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