研究実績の概要 |
これまで下部マントルに相当する圧力下(23-135 GPa)で定量的な高温変形実験を行うことは非常に困難であった。これに対し、本研究では我々研究グループが開発してきた回転式ダイヤモンドアンビルセルと新たな加熱手法の近赤外線集光加熱を組み合わせ(IRrDAC)、大型放射光施設SPring-8のビームライン上に最適化することで可能にした。このIRrDACについては、銀の融解実験と蛇紋石(アンチゴライト)の脱水実験を行うことで、地球深部条件での変形実験に対して有用であることが実証された。この装置を用いて地球深部へと沈み込んでいることが予想される含水スティショバイト(SiO2, 1750±150 ppm H2O)に対し常温高圧変形実験を行ったところ、流動強度は下部マントルを構成する鉱物の一つフェロペリクレースとほぼ同等である可能性が示唆された。加えて、IRrDACを用いた含水スティショバイトの高温高圧変形実験(16-54 GPa, 常温-650度)からは、その流動強度の温度依存性と圧力依存性を確認できた。 本研究によって、今まで得ることが困難であった地球深部へと沈み込んでいる海洋地殻物質の高温高圧大ひずみ変形が可能となり、詳細なレオロジー特性の観察するに至った。
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