研究課題/領域番号 |
21K18658
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
白石 史人 広島大学, 先進理工系科学研究科(理), 准教授 (30626908)
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研究分担者 |
富岡 尚敬 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 超先鋭研究開発部門(高知コア研究所), 主任研究員 (30335418)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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キーワード | 集束イオンビーム加工 / 微生物 |
研究実績の概要 |
昨年度の検討から,SYBR Green Iが走査型透過X線顕微鏡での検出に適していないことが明らかとなったため,今年度は計画通り,他の標識物質の探索を行った. まず,以下の20種類の物質で標識されたEUB338のFISHプローブに対し(Cy3-tyramide,Cy3.5,Cy5,BIO,BIOdT,DBCOTEG,AmC12,AmC3,2OMeA,5MedC,BHQ1dT,BHQ2dT,BioON,BioTEG,PHO,AmC6,DeoxyInosine I,DeoxyInosine U,Azido,Alkyne),走査型透過X線顕微鏡によって炭素と窒素のNEXAFSスペクトルを取得した.その結果,Cy3-tyramideの炭素スペクトルには約285.2 eVと約285.8 eVに特徴的なピークが認められた. そこで,Cy3-tyramideによるCARD-FISHを適用した大腸菌をδ-MnO2と混合し,それらを炭素支持膜付き銅グリッド上に載せて走査型透過X線顕微鏡分析を行った.その結果,蛍光観察でCARD-FISH標識されていることが明らかな大腸菌からは,タンパク質由来の約288.2 eVのピークに加え,約285.2 eVのピークも得られた.このピークはCy3-tyramideのみの場合に比べると小さく,また約285.8 eVのピークは認識できなかったが,CARD-FISH標識されている場所に特異的に分布したことから,Cy3-tyramideに由来するものと思われる.これらのことから,検討した標識物質の中では,Cy3-tyramideが走査型透過X線顕微鏡による検出に最も適していると結論された. 本年度はまた,新手法の潜在的適用対象である様々なマンガン・炭酸塩試料に関しても,予察的検討を開始した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ほぼ当初の計画通り,網羅的な標識物質の検討を実施し,FIB薄膜でも検出できそうな物質を発見することができた.
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今後の研究の推進方策 |
Cy3-tyramideによるCARD-FISHを適用した大腸菌をδ-MnO2と混合し,今度はFIB加工による薄膜を作成,Cy3-tyramideのシグナルをSTXMにより検出する.それが成功すれば,この手法を様々な天然試料に適用する.
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