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2021 年度 実施状況報告書

水銀の異常同位体効果を用いた大量絶滅時の火山噴火規模の定量

研究課題

研究課題/領域番号 21K18661
研究機関学習院大学

研究代表者

大野 剛  学習院大学, 理学部, 教授 (40452007)

研究分担者 澤木 佑介  東京大学, 大学院総合文化研究科, 助教 (00635063)
研究期間 (年度) 2021-07-09 – 2023-03-31
キーワード水銀 / 同位体分別 / 大量絶滅 / 非質量依存
研究実績の概要

本研究では、生物の大量絶滅と大規模火山噴火の関連性を調べる新たな指標として、水銀の同位体組成が光化学反応により非質量依存の同位体分別(異常同位体効果)を引き起こすことを用いて、大規模火山噴火の定量的研究手法を開発することを目的としている。従来、水銀同位体分析の前処理・試料導入法として、酸分解・還元気化法が用いられてきたが、本研究が目標としている堆積物中の水銀はppbレベル(ng/g)と低濃度であるため、酸分解・還元気化法を用いると主成分元素の影響(マトリックス効果)により精度の良い同位体分析ができないという問題があった。そこで本研究では、天然の微量水銀試料に適用可能な新たな微量水銀同位体分析法の開発を目指している。本年度は、水銀濃度が低い堆積岩を対象とした水銀濃縮法および同位体分析法の開発を進めた。具体的には、加熱気化水銀測定装置で試料を加熱し、試料中の水銀化合物を気化・定量した後、金アマルガムとして捕集濃縮する方法を検討した。数 ngレベルの水銀を捕集した捕集管をMC-ICP-MSの試料導入経路に繋ぎ、自作した加熱装置を用いて水銀同位体比測定を試みた。金アマルガムとして捕集濃縮した水銀をMC-ICP-MSの試料導入経路に結合し、金アマルガムからなる試料捕集部を加熱することにより、捕集された水銀が気化し、MC-ICP-MSへ導入されることが確認できた。また、得られた信号強度を全て積算することにより妥当な同位体比を得られることが示された。これらの手法を用いて今後は天然の試料へ応用していく予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

予定していた天然の堆積岩試料中に含まれる微量水銀の高精度同位体分析法の立ち上げに目処が立ったため。

今後の研究の推進方策

成層圏火山噴火の際に起こると考えられる水銀同位体異常のメカニズムについて、特に波長依存性の観点で実験に取り組む。具体的には、キセノン光源を用いて250 nm-300 nm程度の領域での光酸化還元反応における水銀同位体異常の波長依存性を調べ、天然試料の変動と比較していく予定である。

次年度使用額が生じた理由

今年度予定していた地質調査が次年度に変更となったため、当初予定していた使用額に満たなかった。次年度の予算と合わせて、調査等に必要な経費として使用する予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Temporal change of 236U/238U and 235U/238U isotopic ratios in atmospheric deposition in Tokyo and Akita from 1963 to 19792022

    • 著者名/発表者名
      Ohno Takeshi、Sato Naoki、Shikimori Junko、Ijichi Yuta、Fukami Yusuke、Igarashi Yasuhito
    • 雑誌名

      Science of The Total Environment

      巻: 810 ページ: 151292~151292

    • DOI

      10.1016/j.scitotenv.2021.151292

    • 査読あり
  • [学会発表] 光化学反応における水銀同位体分別の波長依存性2021

    • 著者名/発表者名
      平野隼、大野剛、深海雄介
    • 学会等名
      2021年度日本地球化学会
  • [学会発表] 化学交換反応系におけるタングステン同位体分別の原子核体積効果の推定と宇宙化学への応用2021

    • 著者名/発表者名
      有泉涼子、大野剛、深海雄介
    • 学会等名
      2021年度日本地球化学会

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公開日: 2022-12-28  

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