研究課題
1. 塗装膜厚のゆらぎの可視化 塗装膜の厚さは工業製品の品質を左右する重要な監視項目である。構築した音響共鳴映像システムを用いて、厚さ1mmの亜鉛メッキ鋼板に施した10~30umの範囲の塗装膜の厚さを可視化した。鋼板裏面の塗装膜を対象として実験を行ったところ、共鳴周波数は膜厚の減少と共に明瞭に増加し、これに基づき塗装膜の厚さのゆらぎを可視化することに成功した。また両面に塗装膜を施したサンプルの裏面エコーを周波数解析して得た振幅スペクトル比に極大値と極小値が現れ、これより両面の塗装膜の厚さを同時に可視化できることを確認した。2. フォトレジスト膜の品質の評価 シリコン基板に様々な条件でスピンコータにより成膜したフォトレジスト膜の品質を評価した。膜厚は触針式プロファイラにより測定した。また膜の硬度に関係する音速と密度の面情報を音響共鳴映像法により取得し、それらの平均値とバラツキの情報を得た。膜厚と音速は塗布回数の増加に伴い増加し、またベーク温度と回転数の増加に伴い減少した。一方、密度は複合的な要因により変化し、それぞれある条件で最大となった。全てのデータを重回帰分析することにより回転数が最も品質に影響を及ぼすことを明らかにした。更に高密度な膜を得る成膜条件を特定することに成功した。3. 高分子接着層の品質の評価 航空機等の輸送機器において、従来のリベットや溶接による接合が接着に置き換わってきており、基材と接着層との密着性は重要な品質管理項目である。2枚のアルミ板を高分子接着剤にて接着し、アルミ板間の接着層の品質を評価した。音響画像と音響共鳴画像(共鳴周波数画像・最大振幅スペクトル比画像)はそれぞれ異なる様相を呈しており、前者より接着層の欠陥が、後者より基材と接着層の密着性が可視化・評価できる可能性を見出した。またシングルラップシェア試験を実施して接着層の界面強度を算出した。
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Journal of Vacuum Science and Technology B
巻: 41 ページ: 022601, 8 pages
10.1116/6.0002459
Review of Scientific Instruments
巻: 93 ページ: 064901, 6 pages
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https://web.tohoku.ac.jp/tohmyoh/index.html