研究課題/領域番号 |
21K18675
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
尾方 成信 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 教授 (20273584)
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研究分担者 |
新里 秀平 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 助教 (10853202)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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キーワード | 疲労寿命 / ナノ材料 / 変形素過程 / 理論予測 / 原子論 / 破壊 |
研究実績の概要 |
これまでにナノ材料では欠陥生成の熱活性化過程が繰り返し負荷下での破壊の発端となるとの仮説のもと、簡便な疲労破壊開始までの時間を予測する式を導出しているが、その仮説が様々なナノ材料において正しくかつ有効であるのかは不明である。そこで本課題ではこれまで、金属結合と共有結合という全く異なる結合状態を有し異なる延性を発現する金属ナノピラーとグラフェンシートを対象とし、これらに初期き裂を導入したモデルに対して、分子動力学法および加速分子動力学法を適用し、繰り返し負荷下における欠陥の時間発展解析を実施した。このとき、繰り返し負荷振動数、温度、応力振幅を変化させた。その結果、金属ナノピラーでは初期き裂からの転位生成、グラフェンシートでは初期き裂の進展が見られ、き裂発生までの時間はともに温度、応力振幅の上昇に伴って急速に短くなることが示され、結合様式に依らず疲労の素過程を熱活性過程として扱うことが妥当であることが示された。これにより予測式の理論的背景の正しさが確認できた。その後、繰り返し負荷をナノピラー、グラフェンシートが完全に破断するまで継続して与え、疲労破壊(破断)までのプロセスと時間を求めた。当該年度において、その結果を詳細に検討したところ、破断までのプロセスが多段の熱活性化プロセスとなっているため、単一プロセスを仮定していた従来の理論式では、破談までの時間(寿命)を正確に予測できないことが判明した。この問題を解決するために、多段熱活性化プロセスを考慮した理論予測式を新たに構築した。構築した理論予測式を用いて予測したグラフェンシートの破断までの時間を、分子動力学法の解析結果と比較したところ良い一致を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度末に立てた目標である「破断までに発生する疲労素過程をすべて抽出し、それぞれが発生するまでの時間を予測する式を構築し、破断までの時間、すなわち疲労寿命予測達成にむけて研究を推進させる。」を完全に達成している。一方、共同研究であるナノ疲労試験はまだ実施中である。
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今後の研究の推進方策 |
ナノ疲労実験を推進して完了させ、理論予測式と比較する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナの影響で海外渡航による研究調査が延期となった。また、数値解析を行う計算機を導入予定であったが、当初予定よりも効率の良い解析ができ、既存計算機で対応が可能であった。当該計算機は計算量が増大する最終年度に導入する予定である。
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