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2022 年度 実施状況報告書

ゲルやペーストの塗布特性と微細構造の関係を解明するナノ・レオメトリー技術の開発

研究課題

研究課題/領域番号 21K18686
研究機関長岡技術科学大学

研究代表者

高橋 勉  長岡技術科学大学, 工学研究科, 教授 (20216732)

研究期間 (年度) 2021-07-09 – 2024-03-31
キーワードレオメトリー / 塗布 / ゲル / ペースト / インデンテーション試験
研究実績の概要

ペーストやクリーム状の懸濁液・乳濁液は超低応力・低ひずみ領域において分散粒子や凝集体がジャミングを起こし,降伏応力を持ち,塗布膜 の平滑性やイン クジェット3D造形などの製品性能に重要な影響を与える.このような流体の流動および降伏特性に及ぼすナノからサブミクロン サイズの微細構造の影響を直接的 に計測できる新たな技術として超高感度荷重センサによるナノ・インデンテーション試験を応用した構造解析 技術「ナノ・レオメトリー」の手法と理論を構築 し,レオメータにより求まるミクロン領域の平均的特性との比較から流体中の微視的構造と降 伏特性の関係を明らかにする. 本研究は次の3つのステップに従って実施する.すなわち,(i)高性能回転型レオメータで測定可能なサブミクロン領域における降伏現象発生前 のレオロジー特性 の新たな評価方法の開発,(ii)超高感度荷重センサを搭載した最新かつ国内唯一のバイオ・ナノ・インデンテーション試験装 置を用いたナノからミクロン領域 のレオロジー特性評価方法の開発,そして(iii)レオメータによる体積平均的特性とインデンテーション試験 による局所的特性の比較による内部構造変化の評価 方法を開発し,これらを総合して「ナノ・レオメトリー」技術として体系化していく. 令和4年度は(ii)のバイオ・ナノ・イ ンデンテーション試験により濃厚エマルジョンおよびハイドロゲルに対して球状圧子を押し込み,その後の引き剥がし過程における除荷曲線をJKRモデルで解析し,等価弾性係数および付着仕事を算出した.これらの値は試料の構造的な特性とよく一致を示し,ナノ・インデンテーション試験がレオメータで検知できない微視的構造の差異を評価できることを示した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

ナノ・インデンテーション試験によるクリーム,コロイドゲルに関して予定を上回る実験を実施し,知見を多く得た.球状圧子による濃厚エマルジョンの引き剥がし過程の除荷曲線に対してJKRモデルを適用し等価弾性係数と付着仕事を算出した.これらの値はエマルジョンの油滴界面に形成されるラメラ層の状態と関係が深いことを見いだした.この結果は化学工学会第53回秋季大会,第70回レオロジー討論会,日本機械学会第100機流体工学部門講演会,日本機械学会北陸信越支部2023年合同講演会で発表し,北陸信越支部2023年合同講演会では発表した大学院生が優秀講演賞を受賞した.さらに,沖縄科学技術大学院大学で開催されたミニシンポジウム「Yielding and Flow of Soft Matter Systems」において招待講演を行った.よって,当初の計画以上に進展していると判断する.

今後の研究の推進方策

球状圧子の付着状態からの引き剥がし過程でエマルジョン,ゲルの特徴的な挙動が得られることが明らかとなったが,引き剥がしにおいて圧子に実際に付着する試料の状態によっては測定結果にばらつきが発生する.付着時の試料の状態を直接観察し,引き剥がし過程の試料形状とインデンテーション試験結果の対比を行い,JKRモデルで表せない引き剥がし初期の挙動を明らかにする.また,さらに測定試料を増やし,これまでの結果の正当性を確認する.

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (6件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [学会発表] ナノ・インデンテーション試験を用いたO/Wエマルションのラメラ構造と表層力学物性の関係評価2022

    • 著者名/発表者名
      木元祐之介,堀合眞知,長瀬賢史,宇野明,高橋勉
    • 学会等名
      化学工学会第53回秋季大会
  • [学会発表] ナノ・インデンテーション試験によるoil-in-waterエマルションの表層力学物性測定2022

    • 著者名/発表者名
      木元祐之介,堀合眞知,長瀬賢史,宇野明,佐藤靖徳,高橋勉
    • 学会等名
      第70回レオロジー討論会
  • [学会発表] ハイドロゲルにおける降伏挙動とクリープ特性の関係2022

    • 著者名/発表者名
      木元祐之介,佐藤靖徳,高橋勉
    • 学会等名
      日本機械学会 第100期流体工学部門講演会
  • [学会発表] Oil-in-Waterエマルションにおける多重ラメラ2重層構造と局所力学物性の相関2022

    • 著者名/発表者名
      木元祐之介,堀合眞知,長瀬賢史,宇野明,佐藤靖徳,高橋勉
    • 学会等名
      日本機械学会北陸信越支部 2023年合同講演会
  • [学会発表] 球形ナノ・インデンテーション試験を用いた濃厚分散系流体の微視的物性評価2022

    • 著者名/発表者名
      木元祐之介
    • 学会等名
      日本レオロジー学会東日本支部・関東地区修士論文発表会
  • [学会発表] Microscopic rheological characterization of concentrated dispersion fluids using Nano-Indentation tests with a spherical indenter2022

    • 著者名/発表者名
      Tsutomu Takahashi
    • 学会等名
      OIST Mini Symposium "Yielding and Flow of Soft Matter Systems"
    • 国際学会 / 招待講演

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公開日: 2023-12-25  

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