研究実績の概要 |
2023年度は、究極の小型化と簡素化が可能な低熱流束で動作する新しい強力なマイクロエンジンの学理体系を構築するために、次のことが遂行できた。 I.計画(2)の遷移核沸騰領域付近の回転エンジンはスクリュウー駆動を検証【①J. Phys. Soc. Jpn. 92, 074401 (2023)】。また、計画(3)のワイヤレス化について、磁場による渦電流型ボートを提案検証【②J. Phys. Soc. Jpn. 93, 034802 (2024)】。また、アンテナと水中放電(膜沸騰)を使った新ワイヤレス法を提案検証【③Physics of Fluids 35, 096603 (2023)】。 II.計画(4)の低熱流束化の検討を進めた。 【三角柱対流駆動:④J. Phys. Soc. Jpn. 92, 114401 (2023); 光点滅型:⑤ Appl. Phys. Lett. 123, 193902 (2023);対流ポンプ応用:⑥ Jpn. J. Appl. Phys. 62 117002 (2023)】 III.さらにマイクロ熱エンジンのメカニズムの系統的理解のため、核沸騰領域における非対称構造の検討を実施。【オーバーハング構造の効果:⑦Physics of Fluids 36, 024124 (2024);浮力効果:J. Phys. Soc. Jpn. 93, (2024) in press;非対称スパイラル構造の効果(投稿中)】 IV. さらに強力なマイクロ熱エンジンの実現のために、水中放電による爆発的な沸騰現象(膜沸騰)を使った熱エンジンの検討を進めた。【微小物の打ち上げ検証:⑧Physics of Fluids 35, 054105 (2023);自動リフィル型連続駆動の検証:⑨Jpn. J. Appl. Phys. 63 017007 (2024) 】
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概要で記載したように、2023年度において、新しいマイクロエンジンの学理体系を構築するための研究群を推進し、その成果を9件の論文(POF誌3, APL誌1,JJAP誌2, JPSJ誌3)として国際誌に掲載できている。しかしながら、小型で強力な新しいマイクロ熱エンジンの学理体系を構築するためには、低熱流束、小型化、ワイヤレス化、高出力化とともに、材料の高度化及び微細化など多くの検討を進めていく必要がある。また、”非対称性”を意識した統一的なメカニズム体系へと発展させるとともに、低熱流束と高出力化のトレードオフを意識した学理体系を構築する必要があると考えている。
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