研究課題/領域番号 |
21K18707
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
石鍋 隆宏 東北大学, 工学研究科, 准教授 (30361132)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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キーワード | 液晶 / 配向制御 / 波面制御 / ARデバイス / アクティブホログラフィック光学素子 |
研究実績の概要 |
本研究は、液晶中で自己組織化により形成される高分子ネットワークの二次元凝集構造が光重合に用いる紫外光源の配光分布に依存することに着目し、微細構造を用いて紫外光源の二次元配光分布と照度分布を制御することで、サブミクロンオーダーまで微細化した高分子ネットワークの連続層構造を液晶中に形成する。微小領域の液晶の分子配向制御とその電界制御手法を確立し、光の波面を動的に制御可能なアクティブ光学素子を実現することを目的として以下の項目について検討を行った。 1. 液晶中に微細な高分子凝集構造を形成する手法を確立した。液晶・モノマー混合材料に照射する紫外線の照度、時間を最適化することで、駆動電圧を低減すると共に、液晶の電圧応答性を改善できることを確認した。さらに、その高速応答化に向けた駆動制御として、オーバードライブ駆動における電圧引加時間の最適化が液晶配向状態の安定化に重要であることを明らかにした。 2. 液晶の屈折率制御による焦点可変光学系の設計について検討を行い、本研究で作製した素子を用いることで結像位置の制御が可能であることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
令和3年度は、液晶・モノマー混合材料に照射する紫外線の条件を最適化することで、液晶中に析出する高分子の凝集構造を制御する技術を確立した。高分子の凝集構造の制御により、液晶素子の応答特性を制御できるだけでなく、屈折率分布の制御によりレンズ光学系における焦点位置の制御や光回折等を制御することができる。本研究では、偏向依存性がなく屈折率を制御できる素子を実現し、それがARデバイス等に用いる可変焦点光学系に有効であることを確認した。以上のことから、本研究は計画以上に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度は、前年度に得られた高分子の凝集構造制御を発展させ、より高効率での光制御の実現を目指す。ARデバイスに向けた焦点可変光学系を設計すると共に、実際にシステムを構築し本研究におけるシステムの有効性を実証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和3年度において、液晶中における高分子凝集構造制御について、現有の紫外線照射装置を用いて基礎検討を行った結果、当初の計画以上の成果が得られた。この結果をもとに、検討を進めた結果、紫外線の平行度を1度以下と現有の装置よりも優れたの特性を達成すると共に、紫外線照度の制御範囲を大きく設計することで、より詳細な制御が実現できることを見出した。この紫外線光源の設計には、更なる時間と費用を要することから、翌年度分として請求した助成金と合わせた使用を計画している。
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