研究課題/領域番号 |
21K18709
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
熊田 亜紀子 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (20313009)
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研究分担者 |
佐藤 正寛 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (40805769)
藤井 隆 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任教授 (60371283)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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キーワード | 電界計測 / 二次高調波 / ラプラス場 / 逆計算 / 位相整合 |
研究実績の概要 |
高電界現象に関わる物理現象を把握していくうえで、電界分布を、高い時間・空間分解能で非接触かつ非侵襲に感度良く正確に計測できる技術が求められてい る。本研究では気体の分極の三次非線形感受率χ(3)による電界誘起第二次高調波発生(E-FISHG)を利用し、ラプラス場ならびにポアッソン場における電界のベクトル成分を非接触・非侵襲三次元高空間分解測定を実現する。
E-FISHGはレーザ光をレンズで集光し第二高調波の発生に十分な強度にすることにより、焦点近傍の電界を測定しようとするものであるが、焦点近傍以外の部分で発生した第二高調波の影響が強く、その影響を考慮した逆計算手法の確立が必要である。昨年度において、レンズを平行移動しレーザ伝搬方向に焦点をずらしたデータ列を取得し、予め実測もしくは計算により把握しておいたレーザビーム形状情報をもとに、逆計算を行うことで、ビーム伝搬方向にも空間分解して電界計測を行える技術の骨子の開発を終え、球-球電極や棒-棒電極の電界分布など比較的単純な系の電界分布の復元に成功している。
本年度においては、電界の二方向成分の復元、複数のピーク値を持つ分布やPlateau分布など複雑な形状の復元への適用可能性を検証した。さらに、復元誤差を10%以下に抑えるための光学系の形状パラメータを明らかにした。また、短パルスレーザとプラズマの相互作用の検証については、フェムト秒レーザとコロナ放電による定常電流場との関係の検証を行った。その結果、定常電流場における計測にはその影響は無視できることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
より複雑な形状の電界分布への適用可能性を系統的に定量性をもって示すことに成功した。また、”許容できる程度の誤差レベル”をもって復元可能(逆計算可能)な、実験系(光学パラメータ)を提示することもできた。 結果については、現在ジャーナル論文投稿準備を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
短パルスレーザとプラズマの相互作用の検証をより系統だって行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定した短パルスレーザとプラズマの相互作用の検証を開始した。直流コロナとの相互作用の検証を行ったが、直流コロナは短時間のあいだに発生進展消滅を繰り返すパルスストリーマの集合体であった。レーザとプラズマの相互作用を検証するには、レーザのパルス幅、プラズマの種類を変えての検証が必要であると考えられ、放電観測に必要な部品の発注を次年度にしたため。
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