研究課題/領域番号 |
21K18718
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研究機関 | 豊橋技術科学大学 |
研究代表者 |
野田 俊彦 豊橋技術科学大学, エレクトロニクス先端融合研究所, 准教授 (20464159)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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キーワード | においセンシング / 機械学習型センシング / CMOSガスセンサ / 分子ふるい / 画像出力型ガスセンサ |
研究実績の概要 |
ブロードな応答特性のセンサを用いた「におい」センシング実現に向け,①画像出力型においセンサ,②ディープラーニングを用いたデータ処理,③分子ふるい機構,これら3つの研究課題を設定し,研究を遂行した。 ①画像出力型においセンサは,電位計測センサアレイのCMOSセンサチップに「におい感応膜」を3×3のドットマトリックス状に成膜して作製し,におい感応膜へのにおい分子の吸着によりわずかに変動する電位を2次元情報として読み出し,画像情報として出力できるようにした。 ①で作製したセンサを使用して3種類のガスに対する応答特性を取得し,②AIによるデータ解析 の基礎検証行った。ガス計測データを教師データとして機械学習(Light GBM)して判定モデルを構築した。この判定モデルで1000データの判別試験を行ったところ,98%以上の正答率で3種類のガス判別が可能であった。 画像出力型センサに組み合わせる③分子ふるい機構 は,Si基板上に5~15ミクロン幅のアルミ製ストライプをブリッジ状に形成し,ストライプ部をガスが透過可能な構造にしたものを試作した。①のセンサと組み合わせてガス応答特性を計測し,ストライプ幅によって応答特性が変化する事を確認した。また,金属ストライプに電圧を印加可能な構造の分子ふるいも試作した。これを同様に評価したところ,印加電圧によってガス応答特性が変化し,かつその応答変化はガス種によって異なる事を見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画通りに研究を遂行することができ,本研究で掲げた全く新しい計測アプローチの実証が順調に進んでいる。初年度は各技術要素の研究を比較的独立して進めたが,2年目にこれらを融合して研究を進める準備も問題なく進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
①画像出力型においセンサ,②ディープラーニングを用いたデータ処理,③分子ふるい機構,これら3つの技術要素を集約して,萌芽的研究として掲げた全く新しい計測アプローチの有用性を実証する。またそれと並行して,各技術要素の深化も進める。特に,②ディープラーニングを用いたデータ処理,③分子ふるい機構,については,初年度の結果から性能向上に繋がる要点が見いだせており,最適化を精力的に進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
世界的な半導体部品不足による装置の長納期化のため,計測装置の一部を次年度納品としたため。当該装置が必須の計測を次年度とする一方で,次年度に予定していた計測の一部を前倒しして実施できたため,全体の研究計画に影響なく進めることができた。
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