研究課題
THz級電磁波の新たな応用分野開拓の必須技術として、THz級の周波数成分を持つ任意電磁波形を生成する技術を創成した。具体的には、従来広帯域設計が必須と考えられていた光電変換デバイスについて、それぞれ100GHz、200GHz、300GHz、400GHzの異なる中心利得周波数に設計したパッチアンテナを接続した光電変換デバイスをアレー状に集積したチップの設計、試作を行った。設計では各パッチアンテナの一辺の長さを動作周波数の半波長程度に設定しそこから電磁界シミュレーションによって電磁波出力が最大となり、かつ反射特性が許容値以下になることを指標にアンテナ形状を最適化した。試作ではパッチアンテナへの接続に必須のマイクロストリップ線路と、光電変換デバイスからのコプレーナ線路との接続において、2D-3D変換構造を考案、作製し、光電変換デバイスで発生したTHz級信号を低損失でアンテナへ給電することを可能とした。この設計において両線路のグランドの接続点と信号線の距離と、電磁波の波長とに密接な関係があることを発見した。THz級電磁波の波形評価技術として、被測定THz波を分岐し、一方に遅延を加えて合波する方式のTHz波自己遅延干渉計を考案、構築した。この自己遅延干渉計の動作実証実験では、0.9THzまでの正弦波形の観測に成功した。開発したデバイスを用いてTHz級繰り返し電磁パルス波を生成し、波形評価を基に1THz級無線通信への適用可能性を検討した。本研究成果により、光波形生成と、アレー状光電変換デバイスで、サブピコ秒領域での物質やデバイスの電磁波応答という新分野開拓に発展する可能性を確認した。今年度得られた上記結果は、学術論文3件(査読あり)、国際会議12件(査読あり)で発表した。
すべて 2023 2022
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (12件) (うち国際学会 12件)
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