研究課題/領域番号 |
21K18733
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
藤澤 浩訓 兵庫県立大学, 工学研究科, 教授 (30285340)
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研究分担者 |
中嶋 誠二 兵庫県立大学, 工学研究科, 准教授 (80552702)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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キーワード | 異常光起電力 / 太陽電池 / 高効率 / 極性結晶 |
研究実績の概要 |
スパッタ法及びMOCVD法により,BiFeO3 (BFO)薄膜をSrRuO3/SrTiO3あるいはSrRuO3/Pt/ZrO2/Si基板上に作製するとともに,Mn添加,(111)配向膜,組成制御やバッファ層導入などについて検討を行うとともに,光起電力の評価を行った. ITO透明導電膜を上部電極として,ITO電極上から波長405 nmの青紫レーザー光を照射し,(001)BFO薄膜の膜厚方向の異常光起電力について詳しく調べた.まず,入射光の偏光依存性からはバルク光起電力効果に由来する光起電力が得られていることを確認した.さらに,その膜厚依存性から,開放端電圧や短絡電流,外部量子効率が,膜厚100nmを境に不連続に変化することを見いだした.特に外部量子効率は,膜厚100nm以上では0.2%以下であるのに対し,膜厚の減少に伴い増加し,膜厚20nmでは2%を超え,過去のBaTiO3薄膜における報告例よりも大きな値を得た.これは,高品質なBFO薄膜では,薄膜化によるキャリア散乱の抑制により光電変換効率の向上が可能なことを実証した重要な成果である. また,電極/BFO界面の電位障壁排除に向け,エッチングによる表面清浄化やXPSを用いたグラフェン/BFO界面のバンド曲がりの実測を行い,分極の向きに応じてBFO表面のバンド曲がりが変化すること,酸素組成に対する成膜時のO3添加効果やFeOxバッファ層のカチオン組成に対する影響などを明らかにした. これらは高品質BFO薄膜の膜厚方向の異常光起電力効果を用いた高効率太陽電池に向けた基礎的かつ重要な知見である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
分極軸が表面に垂直な(111)BFO薄膜に関して,膜厚1μmでは高い表面平坦性が得られているが,100nm以下の薄膜化と光起電力の評価が遅れているため.
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今後の研究の推進方策 |
引き続き,更なる薄膜化と(111)配向膜における異常光起電力効果の測定と界面の電位障壁の排除を進める.計画段階で想定していた各種の電極材料のうち,特にナノカーボン系材料に注力する.
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