研究課題/領域番号 |
21K18736
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
松井 佳彦 北海道大学, 工学研究院, 教授 (00173790)
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研究分担者 |
松下 拓 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (30283401)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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キーワード | 環境技術 / 環境材料 / 土木環境工学 / 反応・分離工学 / 水資源 |
研究実績の概要 |
超微粉末活性炭(SPAC)と遊離塩素を組み合わせた処理による可溶性二価マンガン(Mn)の除去について,膜ろ過パイロットプラントおよびバッチ実験により検討し,除去性は実用的な性能を満たすことができた.Mnは塩素により活性炭粒子表面で酸化され沈殿することが確認された.活性炭は2価Mnの酸化に対して触媒効果を有することがわかったが,その効果は従来のサイズの活性炭ではわずかであった.しかし,活性炭の粒径を数μmにすることで,実用に耐えうる速度でのMn除去が期待できる.これ以下の粒径では粒子が凝集し,除去効率が低下した.高Mn濃度の条件を除き,Mn除去速度係数はMn濃度に依存しなかった.さらに,Mn除去に影響を与える因子を明らかにした.Mn除去は,一定濃度以上では塩素濃度に依存しなかった.自然水中の可溶性Mnは溶解したMn2+のイオンと分子量10,000Da以上のコロイドの2つの形態であった.Mn2+はSPAC-Cl2に除去されたが,コロイド状Mnは除去されなかった.コロイド状Mnは凝集と濾過によって分離除去された.除去過程で凝集剤を添加すると,特に低温条件下で,局所的な酸性度において酸化されたMnOxの再溶解によりMn濃度が上昇し,さらに凝集により物質移動が阻害されMn除去率が遅延する可能性があることが判明した.この影響はMn の酸化が十分に進行した後に凝集剤を添加し,高濃度攪拌を行うことで軽減することが可能である.共存する化合物のうち,Ca2+,Mg2+,NOMはSPAC表面へのMn2+の収着と競合するため,Mn2+除去率を低下させる.水温の影響は特に大きく,20℃から4℃に低下すると除去率係数は半減した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
超微粉末活性炭(SPAC)と遊離塩素を組み合わせた処理による可溶性二価マンガン(Mn(II))の除去法の基本特性,除去性に影響を及ぼす因子として水温,撹拌強度の他に,コロイドMnの存在,NOM(天然有機物質),Ca2+,Mg2+イオンを明らかにした.
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今後の研究の推進方策 |
今後は除去メカニズムと除去速度を解析するとともに,除去プロセスにおける塩素の役割と塩素のよる吸着阻害の検討を通じて,塩素無しまたは控えたマンガン除去方法を探索する.
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次年度使用額が生じた理由 |
分析費用のかかる微量有機物質関連の実験を令和4年度に実施することとしたため,さらに,論文投稿前の英文校閲納品が令和4年にずれ込んだため,次年度使用額が生じた. 令和4年度はこれらに使用予定である.
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