本研究は,エントロピー生成最大化(MEP)原理に従って,樹状構造をなす河道網や樹木の枝,自然界の縞模様や斑模様が形成されている可能性を明らかにすることを目的として実施した.まず,降雨流出氾濫モデルを利用して河道とそれ斜面における摩擦損失エネルギーを計算した結果,全摩擦損失エネルギーが最小になるように河道と斜面が配分される傾向があったことから,MEP原理に従って河道網が形成されている可能性が見出された.次に,反応移流拡散方程式に立脚した河床波モデルを用いて,反応・移流・拡散の各現象が一定の条件を満たす場合に河床波が形成されることから,河床波もMEP原理に従って形成されている可能性が示された.
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