研究課題/領域番号 |
21K18743
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
本田 利器 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 教授 (60301248)
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研究分担者 |
小谷 仁務 京都大学, 工学研究科, 助教 (30814404)
田中 尚人 熊本大学, 熊本創生推進機構, 准教授 (60311742)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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キーワード | ベイジアンSEM / 小規模コミュニティ / スモールデータ / 災害復興 |
研究実績の概要 |
本研究では,小規模コミュニティのようにデータ数が多くできない事例において,構造方程式モデリング(SEM)を適用できるようにするため,量的情報と質的情報を統合した分析を可能とする枠組みを構築するため,ベイズ理論を適用して定式化されたベイジアン SEMを利用する手法を提案する. 初年度は,事前情報として与える条件の妥当性やその効果を定量的に計測するため,研究代表者の保有する既存の調査データを用いて,WAIC(Watanabe Akaike Information Criteria)およびWBIC(Watanabe Bayes Information Criteria)の適用性について検証した.算出手法やその精度,解析の安定性等についての知見を得るとともに,課題も明確にした.既往の事例においては,通常のSEMを用いた従来の検討では適切な解析が行えなかった複雑な構造を想定した分析に適用し,ベイジアンSEMを用いて事前情報を反映させることで同様の分析が実施可能となることを示した.また,技術普及が進みつつあり,サンプルを多く収集するのが難しいフェーズに対し,ベイジアンSEMを適用して技術普及メカニズムを分析した. また,実事例において適用するため,海外における地震により被災したコミュニティ(COVID-19が問題となっていない地域を選定)の復旧に関する情報を収集し,また,アンケート調査を実施した.質的にも量的にも十分なデータを得たと考えている.一方,国内の事例としては,熊本地震からの復興まちづくりや地方創生について,コロナ禍であることから文献調査などを中心に活動を行った.当該事例については今後調査を実施する予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウィルスの影響により,一部の対象事例において調査を実施することが事実上不可能であったため,その現地での情報収集を行うことが出来なかったため.
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今後の研究の推進方策 |
本年度は,ベイジアンSEMを用いたスモールデータの分析手法においては,WAICやWBICの適用性の具体的な運用方法を検討する.昨年度の検討により,算出手法やその精度,解析の安定性等についての検討をすすめ,実際の運用手法について整理する.とくに,スモールデータを対象とする場合の解析の安定性を高めるための手法の開発を行い実用性を高める. また,昨年度に収集したデータに適用することで,災害復興事例への適用性の検証を行うとともに,対象とするコミュニティにおいて復興を促す因子の同定とその定性的な検証を行う.国内の事例に関しては,現地での調査を実施することで情報を収集し,提案する手法の適用性,および,当該地位に於ける復興要因の分析を行う. これらの成果に基づき,の小規模コミュニティ調査へ適用可能な手法として取りまとめる予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスの影響により,国内における調査対象コミュニティにおいては,現地での調査を全く行うことが出来なかったため,今年度は文献調査のみを行った.本年度は,新型コロナウィルスの状況を鑑みて対象コミュニティと協議して,調査を行い,その袖手データの分析を行う予定である.
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