下水管内を飛行するUAVによるマルチホップ無線ネットワークによるリアルタイムビデオ伝送と、UAVの制御情報通信を、各UAVが単一無線通信インタフェース・単一チャネルを用いる条件で実現するための無線通信スケジューリング手法を設計し、シミュレーションによりその効果を検証した。この手法では、単一チャネルのマルチホップ無線ネットワークで生じる隠れ端末問題による通信失敗を、間欠的なパケット転送スケジューリングと、パケット受信をトリガとしたバッファ済パケットの転送を行うことにより未然に防ぐものである。シミュレーションにより、同手法によりRTS/CTSを用いた既存手法より大幅にパケットロス率、エンド間遅延を減少できることを明らかにできた。 さらに、マルチホップの通信トポロジ維持のための制御通信を最小限にしながら複数のUAVが下水管内で陣形を広げていくためには、UAV間の距離を単一ホップでのみ伸縮させながら陣形を広げる方法が好適であることをマルチホップ経路維持操作の観点から明らかとし、この方法に基づく移動制御および通信経路制御システムをUGV(Unmmaned Ground Vehicle)上に実装し、動作を検証した。 下水管内の観測器の位置の推定に関し、音声ビーコンを用いた方法を開発・実装し、口径200mmの模擬下水管内で実際に浮流型の端末を移動させた実験により、その精度を検証し、実験での限界である19mまでの距離で位置推定が十分可能であることを確かめた。この条件では無線LAN(2.4 GHz、5 GHz)、およびこれらよりも低い周波数の通信機器の電波は届かないので、音声ビーコンによる測位は意義が高い。
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