研究課題/領域番号 |
21K18748
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
宮澤 理稔 京都大学, 防災研究所, 准教授 (80402931)
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研究分担者 |
中原 恒 東北大学, 理学研究科, 准教授 (20302078)
辻 健 九州大学, 工学研究院, 教授 (60455491)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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キーワード | 光ファイバーケーブル / DAS / 活断層 / 地震観測 |
研究実績の概要 |
研究実施前の令和2年度末に、京都大学防災研究所と近地地方整備局京都国道事務所との間で、防災研究目的に京都国道事務所の管理する光ファイバーケーブルを、DAS技術により測定する事に関する覚書を締結した。この覚書に基づき、本年度は2021年8月23日から同9月24日までの33日間、光ファイバーケーブルの測定を行った。区間については、京都駅前の京都国道事務所から、北西方向の丹波IC辺りまでの主に国道9号沿いの約50kmである。約5m毎に約41m長のケーブルの伸縮を測定する条件で行ったが、これは50kmの光ケーブルに対して9788か所もの測定に対応する。時間サンプリングも500 Hzと高分解能で行った。このため測定記録は一日あたり0.9TBにも及んだ。観測期間中はほぼ欠測なく記録が得られた。また並行観測のため、国道9号沿いの老ノ坂スノーステーション付近に固有周期2 Hzの三成分短周期地震計を設置して、地表の振動を連続観測した。 測定結果は精査中である。大型車の移動による振動、橋梁の振動、トンネルの振動などが明瞭に捉えられたほか、日中と夜間の交通ノイズレベルの差も見られた。最も遠い約50km先においてもレーザー光が充分届いており、振動が測定できていたことが確認された。ケーブルのジオメトリを明らかにするために、交差点や構造物などに起因する特徴的な信号を目印に、どのチャネルがどの箇所を測定しているのかを調査した。また期間中に観測されていた地震の波形を調べた。ケーブルが敷設されている丹波地域で発生した微小地震が数多くとらえられていたほか、約300km離れた能登半島で発生したM5.1の地震も観測されていた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画を立ち上げた当初は、兵庫県西部の山崎断層帯安富断層における地震活動や構造調査を対象としていた。しかし当該国道沿いの光ケーブルの利用が許可されなかったため、国道9号のケーブルの利用に関して国道事務所と交渉を行い許可を得た。観測場所は変わったが、京都西山断層帯の活断層調査が行えること、また大阪府北部地震の余震活動や丹波地域の地震活動が活発でありこれらの地震観測が行えること、土木構造物が測定できることなどから、次世代地震観測網の布石とする初期の研究目的にそぐう内容で進められている。また、実際に測定した記録結果からは、様々なシグナルの測定に成功していたことが確認された。
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今後の研究の推進方策 |
様々な自然現象に起因する信号を捉えるためには、より長期間の測定が必要であるため、令和4年度においても光ケーブルのDAS測定を行う予定である。これと同時に、DAS記録の信号解析を進めて行く。特に、微小地震を含む地震の震源決定や、下部地殻構造調査、浅部地盤の構造調査、トラフィックノイズ解析を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
予算の大部分をDAS測定に充てていたが、予定していた測定役務の見積もりまでに本事業による交付決定が間に合わず、支出もできなかった。このため本年度の繰越額が多くなった。この繰越分は令和4年度の助成金と合わせ、令和4年度におけるDAS測定のために活用する予定である。
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