研究課題/領域番号 |
21K18749
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
竹林 幹雄 神戸大学, 海事科学研究科, 教授 (80236497)
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研究分担者 |
大西 正光 京都大学, 防災研究所, 准教授 (10402968)
井口 正人 京都大学, 防災研究所, 教授 (60144391)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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キーワード | 火山噴火 / 航空輸送 / 火山灰 |
研究実績の概要 |
本研究課題では3カ年の研究期間の中で以下の研究を遂行する.(i) 大規模噴火発生による航空機の被災状況把握のための動的シミュレーションシステムの構築,(ii) 最適(ないしは次善)フライトコントロール策定のための潜在的フライトコントロール方法の推定,(iii) 最適(ないしは次善)フライトコントロール実施時に発生する危険回避行動の動的把握,避行先空港施設で要求される整備水準の推定並びに望ましい空港整備水準の検討,の3点を行う. 令和4年度では,前年から継続して行っているTaal山噴火の影響分析を継続し,その研究成果を国際会議で発表するとともに,学術論文としてまとめ,現在投稿中である.さらに新たな分析対象として2022年5月28日の発生したBezymianny山の噴火の影響についてフライトレーダー24から供給されたフライトデータを用いた分析を行った.中でもアジア~北米間の航空輸送において極めて重要なアンカレッジ空港周辺の貨物便のVAACの噴火雲移動情報発令状況と航空経路の変化の関係に着目して分析を行った.昨年度も適用したFrechet距離を用いたクラスター分析(HDBSCAN)の結果,サンプリングされた29フライトのうち20フライトにおいて回避行動を行ったと判定されるものの,長距離便の方が近距離便よりもよりリスクを回避するようなフライト計画を立てた可能性があることがわかった.さらに,サンプリングされたフライトの変更タイミングから,VAACの発する情報の信頼性が高い可能性が指摘され,VAACの提供する情報の精度が極めて重要であると考えられた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
フライトの変更・中止の意思決定に関する分析は順調に進んでいる.またこれらに基づくシミュレーションモデルの開発は機械学習に関するアルゴリズムを中心に行うように考えており,概ね順調に進んでいる.
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度は最終年度であり,シミュレーションを基にした最適フライトコントロールの方法論の開発を完了する予定である.対象としては桜島の噴火を想定している.また,モデルの完成に至らない場合でも,フライトの変更など意思決定に資する支援情報ツールのあり方について整理し,その適用方法についても示すことを検討している.
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度ではデータ分析に時間を要したため,予定していた分析などに遅れが生じ残金が生じた.今年度は,前年度後半に予定していたフライトレーダー24等から他の事例のデータを購入するなどより広範囲のデータ収集を前半に行うとともに,シミュレーションシステムの構築・テストランを行う予定である.また,成果の公表のため複数の国際ジャーナルへの投稿,およびそのための英文校正を複数の論文に対して行う予定である.
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