研究課題/領域番号 |
21K18750
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
内田 龍彦 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 准教授 (00379900)
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研究分担者 |
橋本 涼太 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 准教授 (60805349)
河原 能久 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 名誉教授 (70143823)
井上 卓也 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 准教授 (20647094)
鳩野 美佐子 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 助教 (40837019)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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キーワード | オイラー型混相流モデル / 利用可能空隙率 / 粒径比 / 粗粒子充填 / 細粒子充填 / 歪 |
研究実績の概要 |
混合粒径の土砂輸送解析においては領域平均可能なオイラー型の有効な解析手法が確立されておらず,半世紀近く未解決のままであり,河川,海岸や地形に関する多くの学術,技術の発展を妨げている.具体的には粒度分布をもつ混合粒径河床の土砂輸送解析では,空隙率と交換層厚の問題がある.交換層厚は計算結果を支配する重要なパラメータであるが,これまで決定的な評価手法は無い問題がある.一方,個別の粒子を解析する個別要素法では,交換層の問題が表れない.申請者はこの事実から,積分可能なオイラー型モデルでも空隙率や交換層の問題を解決することができると考え,細粒子の利用可能空間として定義されたAvailable Porosity (AP) という新しい理論を提案した.AP理論では,水流の作用(分級・混合)による土砂体積の増加・減少を考慮できるが,静的な状態を表すために,すべての粒子は瞬時に利用可能空間に侵入できると仮定している.本研究では,これを空隙間の粒子運動の解析にさらに展開し,これまでマクロモデルによる検討が出来なかった混合粒径粒状体と流体の混相流動など問題を検討する. 本研究では二粒径の充填問題に対して,実験,AP理論式,数値解析結果を比較し,数値解析法は理論解とずれているが,それが実験の再現性を向上させていることを明らかにした.さらに二粒径問題について,coarse packingとfine packingの差は連続する粒度分布の場合には歪に相当することを発見し,平均,標準偏差に加えて,粒度分布の歪と空隙率の関係を調べた.この結果,coarse packing状態と見なせるような歪は現地の粒度分布からは見られないことを示した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
混合粒径粒状体の運動解析モデルに先立ち,coarse packing状態においてAP理論を用いた土砂堆積解析の誤差が大きいことに気づき,AP理論の静的な条件を先に検討したため.しかし,その結果,空隙率の評価には粒度分布平均,標準偏差に加えて,これまであまり検討されていなかった粒度分布の歪も重要であり,二粒径充填状態のcoarse packing状態とfine packing状態と関連することが分かるなど,静的状態の理解を深めることができたため.
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今後の研究の推進方策 |
二粒径充填状態のcoarse packing状態とfine packing状態の違いを連続する粒度分布と関連付けることができた.そこで既往の粒度分布データを調べ,ひずみと充填状態の違いを調べる.そして,動的実験においてもこの粒度分布の差に着目して整理する.動的実験では流体条件や加速度条件(振動条件)を変えた混合粒径が落下する場合の堆積実験とし,この実験結果をAP理論に基づいて混合粒径混相流の力学モデルと比較する.次に,初期に粗粒子がcoarse packing状態で堆積している条件において,上から細粒分が堆積する条件の実験を行い,浸透系と比較する.そして土石流実験と比較し,動的分級状態も含めた解析モデルの構築に挑戦する.
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次年度使用額が生じた理由 |
静的条件の理論修正のための実験,検討を行い,動的状態の実験を2022年度に回した.また,コロナ禍のため二相流に関する研究情報収集のための学会に参加できないなどの研究活動の制限があり,2022年度に変更することにした.
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