研究実績の概要 |
4角度偏光子を搭載した偏光カメラを検出器とするPSAR型エリプソメーターを作製した。試料は各種鏡面金属であり、温度湿度制御した光学窓付き試料室内に設置した。単色光源としてレーザーを用いた。ポーララーザー(グランテーラープリズム)にて直線偏光とした単色光を試料表面に照射し、表面膜により楕円化した反射偏光の偏光状態(偏光度Ψおよび位相差Δ)を観察できるように設計した。画像データとして得た偏光状態を行列式(L_out = R(-a)AR(a)SR(-p)PR(p)L_in)に代入し、試料表面の水膜厚さ分布像を高速で、すなわち環境条件変化とほぼ同時に取得することを目的とした。なお、L_inおよびL_outは入射および検出した光のストークスベクトル、R, P, A, Sはそれぞれ回転子、偏光子、検光子および試料のミュラー行列、pとaは偏光子と検光子の回転角度である。カラー偏光カメラにおいてa=0, 45, 90, 135°が設定されていることから、機械的な回転光学素子を使わないで、反射偏光のΨとΔを試料表面(素地、薄膜、環境)の光学定数と薄膜の厚さの関数として求めることができるようにした。従来型のイメージングエリプソメトリーは単色光源であったために、ΨとΔの関係から膜厚を求める解析の際に不都合があったが、本研究では3波長(445、532、633 nm)の同時使用により、膜厚の解析の精度を大幅に向上させた。
本年度は上述を実現するためのリアルタイムイメージングエリプソメーターの開発とSiO2薄膜試料を用いた校正を重点的に実施した。
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