研究課題
(1)Cu-Al-Mn合金の基本系となるCu-Al合金に対し、第一原理計算(VASP)を利用して、<100>方位に正方晶歪を付与した場合の全エネルギー変化ついて計算した。その結果、実際の弾性歪より小さな歪で弾性率の低下が生じること、またこの軟化現象は原子間ポテンシャルの非対称性に起因することが判明した。合金が2元系であり定量的な比較はできないが、定性的な一致が見られることから現象解明の手掛かりをつかんだ。(2)Cu-Al-Mn系はMn添加により電気抵抗が高くなり、コネクタ等の電子部品へは応用が難しい。そこで高い導電性が見込めるMnフリーの低弾性率合金開発に着手した。Cu-ZnおよびCu-Zn-Al系についてマルテンサイト変態の組成依存性を調査し、低温まで変態が生じない合金組成領域を決定した。その後、単結晶作製に必要となるサイクル熱処理の利用可否について広い組成範囲で調査した。その結果、マルテンサイト変態が抑制されるためには高Zn、Al濃度を必要とするがfcc+bcc二相組織を利用するサイクル熱処理のためには低Zn,Alが好ましいことが判明した。その様な2律背反した条件の中で比較的マルテンサイト変態温度が低くサイクル熱処理による粗大粒形成の可能な組成域を見出すことが出来た。これらの合金の<100>方向の弾性定数はCu-Al-Mn系と同様に低く、電気抵抗値は約1桁小さかった。今後は、企業パートナーを見つけ利用出来そうな用途を探索していく予定である。
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四季(中性子産業利用推進協議会季報)
巻: 58 ページ: 1-6
Nature Communications
巻: 13 ページ: 1-8
10.1038/s41467-022-32930-9
http://www.material.tohoku.ac.jp/~seigyo/