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2021 年度 実施状況報告書

防食機能を備えたスマートアロイの創製:耐食元素の固溶から第二相化への発想の転換

研究課題

研究課題/領域番号 21K18804
研究機関東北大学

研究代表者

武藤 泉  東北大学, 工学研究科, 教授 (20400278)

研究分担者 菅原 優  東北大学, 工学研究科, 准教授 (40599057)
西本 昌史  東北大学, 工学研究科, 助教 (20880967)
研究期間 (年度) 2021-07-09 – 2023-03-31
キーワード腐食防食 / 耐食合金 / ステンレス鋼 / 非平衡組織 / Mo
研究実績の概要

ステンレス鋼とAl合金に対し、防食元素であるMoやNなどを「固溶」ではなく「第二相化」した新しい省資源・高耐食合金「スマートアロイ(Smart Alloys)」を開発することを目的として研究を行った。今年度は、非平衡金属組織を有する耐食ステンレス鋼の開発を目指し、SUS304Lステンレス鋼の粉末と純Moの粉末を混合・焼結し、Moリッチ相を含むステンレス鋼を作製した。作製したステンレス鋼に対して、単一の第二相などを含む微小領域(直径約100マイクロメートル)を試験面とする電気化学計測などを行い、鋼作製の方法などに対して試行錯誤を繰り返した。また、耐孔食性に及ぼす熱処理条件とMo濃度の影響を評価し、高い耐孔食性を得るための適切な組織と耐食機構を明らかにした。開発したステンレス鋼は、Moが固溶状態の鋼を大きく上回る高い耐孔食生を示すことを明らかにした。特に、高温で熱処理すると、MoとCrが濃縮したBCC相と、Niが濃縮したFCC相からなるMoリッチ領域が形成されることを見出した。熱処理温度の上昇に伴い、Moリッチ領域の割合が増加した。また、0.1mol/L NaCl中での孔食電位は熱処理温度とともに増加した。したがって、Moリッチ領域割合の増加は、より高い耐孔食性をもたらしたと考えられる。定電流アノード分極により、孔食の発生部位が鋼のマトリックスであることを明らかにした。BCC相とFCC相のモデル合金のNaCl水溶液中での動電位アノード分極曲線の測定から、Moリッチ領域のBCC相がピット成長のバリアとなる可能性が示唆された。なお、Mo添加量の増加により、Moリッチ領域の割合が増加した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

積層造形用の新しい耐食ステンレス鋼として、Moの固溶ではなく、Moリッチ領域が分散した材料を見出したため。

今後の研究の推進方策

ステンレス鋼に関しては窒素を固溶から窒化物に変えた材料を作製し、耐食性向上技術の開発を目指したい。また、Al合金に関しても、超々ジュラルミンAA7075( Al-Zn-Mg-Cu)等に対して、Mnなどを第二相化し、孔食を防止する技術の開発を行う。また、そのために必要となるマイクロスケールでの電気化学解析の手法と乾湿繰り返し試験などの開発を行う。

次年度使用額が生じた理由

Mo分散相を有するステンレス鋼を工業的な規模で試作するための外注先との交渉に予想以上に時間がかかったため、外注費用と支給するMo粉末の購入費用を次年度に持ち越した。持ち越した費用は、当初予定のとおり、外注費用とMo粉末の購入費用に充てる。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2022 2021

すべて 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] 第二相を利用したステンレス鋼の高耐食化の試み2022

    • 著者名/発表者名
      齋藤遥、武藤泉、西本昌史、菅原優
    • 学会等名
      日本金属学会 2022年春期(第170回)講演大会
  • [学会発表] Mo濃化領域によるステンレス鋼の耐食性への影響2021

    • 著者名/発表者名
      齋藤 遥、武藤 泉、菅原 優
    • 学会等名
      日本金属学会 2021年秋期(第169回)講演大会
  • [学会発表] Fabrication of Type 304L Containing Mo-rich Areas and Corrosion Behavior2021

    • 著者名/発表者名
      Haruka Saito, Izumi Muto, Yu Sugawara
    • 学会等名
      240th ECS Meeting
    • 国際学会

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公開日: 2022-12-28  

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