研究課題/領域番号 |
21K18806
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
横山 俊 東北大学, 環境科学研究科, 准教授 (30706809)
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研究分担者 |
横山 幸司 東北大学, 環境科学研究科, 助教 (00911158)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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キーワード | 酸化亜鉛 / アンモニア / 薄膜 / 錯体 / アミンヒドロキソ亜鉛錯体 / 脱水 |
研究実績の概要 |
これまで研究代表者はアンモニア水溶液中で形成する未知のZn錯体を室温で塗布・乾燥すると、結晶配向性が非常に高いZnO膜を低温で形成可能であることを見出している。即ち、この金属錯体がどの様な構造で何故緻密な結晶配向成膜を形成しうるかを解明すれば、金属錯体から欠陥のない酸化物半導体薄膜を直接大面積で成膜可能な新たな技術を世界に先駆けて構築することができると考え、研究に取り組んでいる。 本年度は、前駆Zn錯体の同定とZnO変化までの錯体変化の追跡を検討した。まず、錯生成定数を用いた錯体予測、紫外可視分光法と質量分析を用いた解析から、前駆錯体は、アミンヒドロキソ亜鉛錯体であることを明らかとした。その後、この錯体は脱水過程において、アンモニアの蒸発とともに水溶性の水酸化亜鉛錯体を経由し、ZnOに変化することを明らかとした。ここで、乾燥温度が低い場合は、水酸化亜鉛錯体がZnOに変化するまえに水溶液が乾燥してしまうため、水酸化亜鉛を含むZnO薄膜となるが、100℃程度の乾燥温度では、水酸化亜鉛錯体がZnOに変化することで、ZnO薄膜を得ることが可能であることが判明した。従って、薄膜形成には溶液塗布をしながら加熱を行う必要があるため、一般的に溶液塗布に用いられるスピンコートでは塗布後しか加熱が行えないことから、基板を加熱しながら溶液を基板に塗布するスプレー塗布法による薄膜形成を試み、この錯体塗布と乾燥によってZnO薄膜形成に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画通りに進行しているため、順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
計画通りに進行しているため、今後も研究計画に従って研究を遂行する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究結果より、スピンコートを用いた塗布法ではなく、スプレー塗布による薄膜形成手法となったことから、スピンコーターよりも安価なスプレー塗布に用いる器具を購入し塗布形成を行った。またこのスプレー塗布に用いる器具は条件によって変更させる必要があり、また劣化もするため継続的に購入することが必要となる可能性があることから次年度使用額が生じ、研究結果に応じて適切な器具の購入を行う計画である。
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