リン酸カルシウム結晶と有機分子との複合化による生体材料特性向上を目指すには、リン酸カルシウム結晶と有機分子が形成する界面構造やその安定性に関する知見が重要な材料設計指針となる。本研究では、ジカルボン酸分子で修飾したリン酸八カルシウム結晶に着目し、第一原理計算によりその結晶構造および熱力学的安定性を解明することを目的とした。ジカルボン酸としてコハク酸を主な研究対象とした。既往の実験データとの比較検討から、計算結果の妥当性を確認することができた。また、界面結合状態解析および形成エネルギー評価に基づく熱力学的安定性から、同コハク酸分子修飾結晶の形成機構を明らかにすることができた。
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