研究課題/領域番号 |
21K18821
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
柿本 健一 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40335089)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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キーワード | 環境発電 / 電子・電気材料 / 複合材料 / 焦電効果 / 圧電効果 |
研究実績の概要 |
IoT社会を見据えた現在、電池不要化技術すなわち環境発電に関心が集まり、各種の環境発電方式が出揃いつつある。しかし、出力源の偏在性(場所、時間、連続性など)や発生電力に注目するあまり、基本となる電流と電圧の関係性についての科学的関心がいっそう希薄になってきた。例えば、太陽光発電、温度差発電、振動発電といった代表的な発電方式では、それぞれ室内光への対応、温度差の確保、製造コストの削減などが克服すべき技術課題として挙げられ、小さな発電出力密度を補うために、昇圧コンバーターの改良など回路設計が研究開発の中心になりつつある。これに対して本研究では、環境発電に関して従前にない「電流と電圧の協奏」に着眼した材料創製に取り組むことを目的とする。 そこで本年度は、柔軟性に富んだ高分子樹脂材料を母相とし、これに焦電性と圧電性を備えた硬質の無機セラミックフィラーを添加した複合材料を製作し、振動付与時の環境発電におけるフィラーの影響を調べた。一方向に伸長させた動的モデルに基づく有限要素解析を実施した結果、歪み量に応じた内部電位の可視化に成功し、電位分布とフィラーとの相関が初めて考察可能となった、併せて次年度に向けて、電気熱量効果や絶縁耐圧に及ぼす母相/フィラー界面の影響、および異種の硬質材料同士を掛け合わせた厚膜およびバルク形状の複合材料との比較、などのデータも獲得し、構成材の力学および電気的材料定数が環境発電に与える影響を調査開始した。 以上の成果を取りまとめて論文発表および学協会発表を行なった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
年度目的として掲げた圧電体および焦電体を複合化した柔軟性をもつシート材料化の合成プロセス条件を獲得したため。
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今後の研究の推進方策 |
外国大学との国際共同研究を一層進め、材料工学以外にも特に機械工学的な観点から見たマルチタスク有限要素解析を進めることにより、受振特性と発電性能に優れる材料形状等の最適解を獲得することに取り組む。
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