研究課題/領域番号 |
21K18830
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
吉武 剛 九州大学, 総合理工学研究院, 教授 (40284541)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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キーワード | ダイヤモンド / ナノダイヤモンド / 量子センター / NVセンター / 薄膜創製 |
研究実績の概要 |
ダイヤモンド格子中のNVセンターをはじめとする単一光子源は、量子コンピューティングや超高感度磁気センサーへの応用が期待されており、世界各国で国家プロジェクトが走っている状況である。その一方でその形成方法は既存の半導体に使われてきた技術で行われており、方法としては特に目新しいものはない。 本研究では,ナノダイヤモンド膜中への単一光子源の形成のための新たな物理的手法を創成することを目的として研究を行っている。具体的には,物理気相成長法により成長するナノダイヤモンド膜にNVセンターをはじめとする単一光子源を形成するための,物理現象の理解を含めた、基盤技術を確立する。レーザー照射も適宜組み合わせて,特性としては高輝度・高寿命の達成を目指していく。 同軸型アークプラズマ堆積(CAPD)法によりNドープナノダイヤモンド膜の堆積を行い、生成膜のNVセンター形成をPL測定により評価した。NVセンターが起源と考えられる発光が観測されたが、それらのピークは極めてブロードであった。ダイヤモンドの結晶性を高める必要があることが明らかとなった。 同軸型アークプラズマ堆積法では、膜作製中の負バイアス印加がダイヤモンドの成長促進に極めて有効であることがわかっている。バイアス条件の更なる最適化により、膜の硬度をそれまでの最高値の70 GPaから80 GPaまで高めることに成功した。ラマンスペクトルでも、極めてシャープなダイヤモンドのピークが観測されるようになりダイヤモンドの結晶性が改善されていることが予想される。今後は、この最適化された条件で、NVセンターの形成と評価を行っていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
PL測定により、NVセンターと思われる発光は観測できた。これにより、今後はよりダイヤモンドの結晶性を高める必要があることが明らかとなった。 その後、膜堆積中の負バイアス印加の最適化によって、大幅に結晶性を高めることを実現した。今後はその最適化された条件で、NVセンターの形成を試みる。 研究は建設的に進捗しており、計画以上といえる。
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今後の研究の推進方策 |
同軸型アークプラズマ堆積(CAPD)法により作成されたNドープナノダイヤモンド膜に対して、PL測定を行いNVセンターが起源と考えられる発光が観測されたが、それらのピークは極めてブロードであった。ダイヤモンドの結晶性が悪いことが原因と考えられる。 結晶性を高めるために、膜作製中の負バイアス印加の最適化を行いラマンスペクトルで極めてシャープなダイヤモンドのピークが観測されるようになった。ダイヤモンドの結晶性が改善されていることが予想される。今後は、この最適化された条件で、NVセンターの形成と評価を行っていく。
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