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2021 年度 実施状況報告書

電力供給不要なワイヤレス電源の開発を志向した等温発電材料の薄膜化の挑戦

研究課題

研究課題/領域番号 21K18831
研究機関九州大学

研究代表者

寺西 亮  九州大学, 工学研究院, 教授 (70415941)

研究期間 (年度) 2021-07-09 – 2023-03-31
キーワード熱発電 / 等温発電 / シリコンクラスレート / 組成傾斜 / 熱処理 / 拡散
研究実績の概要

廃熱を利用する材料として熱電材料が注目されており、クラスレート構造を有したBa8Si46のSiサイトにAuを置換したBa8AuxSi46-xでは、材料中にてAuの組成を傾斜させることでNarrow Band Gap効果を発現し、温度差を与えなくても発電することが報告されている。これまではチョクラルスキー法により数cmオーダーの品質の良い単結晶が作製されており、等温発電の効果が認められているが、本材料の応用展開には素子の小型化が重要である。
本研究では薄膜プロセスを利用した、より簡易的な手法を提案し、薄膜にてBa8AuxSi46-xクラスレートのAuを組成傾斜させることを目的としている。本年度は、基材にn型のBa8Au4Si42を用い、基材上にAuを堆積したのち800℃~900℃で熱処理を施してAuの拡散による組成傾斜を図った。
その結果、熱処理後の試料においてAuの組成は表面から試料内部方向に6.34、6.12、4.89、4.90と傾斜し、微細組織観察の結果から数μmの範囲で組成傾斜していることが分かった。また、熱処理後の試料において試料内に温度差を与えないように昇温させて起電力を測定した結果、昇温とともに起電力が増大し、550℃の等温下で約1.5 mVの起電力が認められた。以上の結果より、薄膜プロセスを利用した簡易的な熱処理により数μmの薄膜領域にてBa8AuxSi46-xクラスレートのAuを組成傾斜させることに成功した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

実験計画は、これまでの予備実験にて得られていた知見を基に立てている。そのため、大幅に変更することなくおおむね計画通りに実験を進められている。

今後の研究の推進方策

1年目の研究により、Ba8Au4Si42の上にAuを堆積して熱処理を施すと、Auが内部に拡散して組成傾斜し、narrow bang gap効果を発現することが分かった。この知見に基づくと、基板上にBa8Au4Si42を成膜することができれば、その後、その膜上にAuを堆積して熱処理することで組成傾斜させて発電性能を得ることが期待される。
今後は、先ずレーザー蒸着法を利用して各種基板上にBa8Au4Si42の薄膜を作製する。薄膜が得られたら、その後、その膜上にAuを堆積して熱処理することでAuを組成傾斜させて発電性能を評価する。

次年度使用額が生じた理由

コロナウィルス拡散の影響により、当初の計画通りの物品(消耗品など)を購入して実験を行う頻度が減少してしまったため。

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公開日: 2022-12-28  

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