本研究では、304オーステナイト系ステンレス鋼の微小領域に集束イオンビーム(FIB)を照射させることにより形成されるマルテンサイト及びそのバリアントの関連を検討するとともに、照射領域の機械的性質を計測した。FIBの照射電流が3 nA以上で、オーステナイト相からマルテンサイト相への相変態が生じた。生成したマルテンサイトのバリアントは、照射した結晶面の方位により異なっていた。このことはFIBの照射方向を変えることで、形成されるマルテンサイト晶の方位を制御できることを示している。照射領域の硬さ試験を行った結果、押込み抵抗の上昇が認められ、FIBを照射した微小領域の強度を向上できることを確認した。
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