研究課題/領域番号 |
21K18833
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
小山 佳一 鹿児島大学, 理工学域理学系, 教授 (70302205)
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研究分担者 |
三井 好古 鹿児島大学, 理工学域理学系, 准教授 (90649782)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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キーワード | 強磁場 / 合金 / 元素分離 |
研究実績の概要 |
強磁性相を含む平衡状態図は強磁場によって制御可能である。つまり、強磁場によって磁気エネルギーの利得を最大化する方向に、原料から強磁性体が優先的に合成されて熱的に安定化し、熱分解が抑制される。本研究では、複数元素が混在する試料に強磁場を印加し、強磁性化合物を選択的に合成、他元素を排除することにより、新しい磁気分離に挑戦する。本年度は(1)Mn-Bi-Sn系試料と(2)Mn-Bi-Sb系試料についての研究に着手した。 試料合成について、(1)Mn-Bi-Sn系試料は粉体元素原料をペレット状に圧粉成形し、573Kのゼロ磁場中で3時間、6時間、12時間、24時間、48時間の熱処理が行われた。さらに、同様のペレット状圧粉成形試料にも573Kの5T磁場中で24時間の磁場中熱処理が行われた。(2)Mn-Bi-Sb系試料はアーク溶解法によりボタン状試料を準備し、575Kで24時間のゼロ磁場及び5T磁場中熱処理により合成された。 試料の評価はX線回折測定及び電子線プローブマイクロアナライザーを用いて行った。 その結果以下のことが明らかとなった。 (1)Mn-Bi-Sn系:573Kの熱処理で、Mn3Sn, Mn3Sn2、MnSn2化合物の優先的合成が確認された。結晶子サイズ及び相分率は、磁場に影響されることを確認した。 (2)Mn-Bi-Sb系:573Kのゼロ磁場熱処理で、MnSbとMn2Sb化合物の優先的合成が確認された。5Tの磁場を印加するとMnSbの生成が抑制されることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年1月から3月にかけて新型コロナウイルス感染拡大(第6波)の影響を大きく受け、学内での実験が当初年度予定の2/3程度で終わったこと、東北大学金属材料研究所の強磁場を用いた全国共同利用実験にかかる出張に学内の制限を受けたことが理由として大きい。
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今後の研究の推進方策 |
(1)Mn-Bi-Sn系及びで(2)Mn-Bi-Sb系では、磁場中熱処理の温度と磁場を変化させたとき創出相の系統的測定と排除相の確認を行う。特に、5T以上の強磁場中熱処理実験を東北大学全国共同利用で効率的に実施し、予定の成果を上げる。さらに、Fe-Ga-Sb系の研究に着手する。研究支援者を雇用し、研究を加速させる。
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次年度使用額が生じた理由 |
2022年1月から3月にかけて新型コロナウイルス感染拡大(第6波)の影響を受け、学内での実験が予定の2/3程度で終わったこと、東北大学金属材料研究所の強磁場を用いた全国共同利用実験にかかる出張に学内の制限を受けたことが挙げられる。そのため、共同利用実験出張や旅費の執行がゼロ、原料購入費や実験ジグ等の消耗品や備品購入が当初計画通りに進まなかった。2022年度初めに、研究補助員を3カ月程度雇用し2021年度の遅れを取り戻す予定である。
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