研究実績の概要 |
本研究では(1)Mn-Bi-Sn系試料と(2)Mn-Bi-Sb系試料を中心に磁場中合成と分離に関する研究に着手した。試料合成については、(1)Mn-Bi-Sn系試料は粉体元素原料をペレット状に圧粉成形し、573Kのゼロ磁場中で3時間、6時間、12時間、24時間、48時間の 熱処理が行われた。さらに、同様のペレット状圧粉成形試料にも573Kの5T磁場中で24時間の磁場中熱処理が行われた。(2)Mn-Bi-Sb系試料はアーク溶解法によりボタン状試料を準備し、575Kで24時間のゼロ磁場及び5T磁場中熱処理により合成された。試料の評価はX線回折測定及び電子線プローブマイクロアナライザーを用いて行った。その結果以下のことが明らかとなった。 (1) Mn-Bi-Sn系:磁場の有無にかかわらず、BiはMnと化合物を作らず、Mn-Sn化合物 (反強磁性Mn3Sn, 強磁性Mn3Sn2, 反磁性MnSn2化合物)が生成した。0 T熱処理では、Mn3Sn2化合物の相分率が単調増加するが、5 T熱処理では相分率は停滞する。しかし、磁場強度を15 Tまで増大させると再び単調増加となり、磁場強度によって生成速度を制御可能であることがわかった。(2) Mn-Bi-Sb系:Mn-Bi-Sn系と同様にBiはMnと化合物を生成しなかった。573 Kでは、磁場の有無にかかわらずフェリ磁性Mn2Sb相が生成する。523 Kではゼロ磁場では反応がほぼおきないが磁場を印加することで、強磁性MnSb相の生成が促進されることがわかった。
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