研究実績の概要 |
本研究では、Li空気電池の触媒として使用可能なNドープマクロポーラスカーボン系正極材の開発および調整した深共晶溶媒(DES)を用いた電池性能評価を行った。カーボン合成では、酸素還元反応の触媒として有効なCo-N-C結合を有するポーラスカーボンを金属有機構造体(MOF)を、そしてカーボンの結晶性向上を目的として、Cu源を原料に用いて合成した。前駆体のMOFを合成する原料には、硝酸コバルト、硝酸亜鉛、硝酸銅と2-Methylimidazole(2MZ)を用いた。これらの金属源の混合比を変更させてMOFを合成し、その後熱処理することで、マクロポーラスカーボンを合成した。合成したカーボンのSEM像から約300nmの直径を有するポーラス構造が形成されていることを確認した。合成した試料の窒素含有量をX線光電子分光法(XPS)で測定した結果、窒素の割合は1.0~2.5at%であり、窒素含有量は使用したCu源の濃度に応じて変化した。合成したカーボン材料を正極材に用いてLi空気電池を構築し、その充放電試験を行った。Cu含有量が最小の時に放電電圧が最も高く,Cu含有量の増加に伴い放電電圧が低下した。また,放電容量の大きさは、Cu含有量が中程度の時に最も大きく、その値は約4000 mAh/gであった。この結果から、作製したマクロポーラスカーボン材料はLi空気電池として作動することを明らかにした。 DESの開発では、硝酸リチウムとN-メチルアセトアミドを特定のモル比率で混合し,深共晶溶媒を得た。その深共晶溶媒の電池性能を評価した。その結果、異なるモル比率の電解液を用いた場合、放電容量はxLi = 0.20, 0.17, 0.125, 0.10の時それぞれ5655、7637、 9301、10392 mAh・g-1となった。
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