研究課題/領域番号 |
21K18836
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
荒木 貞夫 関西大学, 環境都市工学部, 准教授 (00599152)
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研究分担者 |
山本 秀樹 関西大学, 環境都市工学部, 教授 (30174808)
廣田 雄一朗 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60632437)
長谷川 泰久 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 研究グループ長 (90392646)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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キーワード | ゼオライト / ZIF / 細孔制御 / イミダゾール |
研究実績の概要 |
本研究のコンセプトはゼオライト膜の細孔の壁面にイミダゾール誘導体を導入することにより、細孔の実効サイズのコントロールとイミダゾール誘導体の配位子を変更することにより目的に応じて、細孔径や親和性を細かに制御することである。本年度は、10員環の細孔を持つNa型ZSM-5(Na-ZSM)膜、12員環の細孔を持つNa型FAU(Na-FAU)膜を調製した。ZSM-5膜のSi/Al比は約10であり、約3μmの膜厚であった。単成分ガス透過試験を実施したところ、H2とSF6の透過係数比が約500であり、緻密なZSM-5を調製することができた。Na-FAU膜においては、Si/Al比を約1.4と約1.9を調製し、10wt%水/IPAの浸透気化分離において、透過側でのIPA濃度は検出限界値以下であった。分離係数として、10,000以上であり、緻密なNa-FAU膜を調製できた。 Na-ZSM-5をZnにイオン交換したところ、N2の透過係数が低下した。一方、2-メチルイミダゾール処理するとさらにH2の透過係数までも低下した。したがって、イミダゾール処理法の最適化や,カチオン種による有効細孔径制御の検討を行う。また、Si/Al比が1.4のNa-FAU膜において、粉末で検討した同条件でZnイオン交換を行ったところ、HeやSF6の透過係数が大きく増加した。この結果より、イオン交換条件が数μmのNa-FAU層に対しては適切ではないことが確認された。そこで、イオン交換条件の濃度および温度を検討した結果、Si/A比1.4および1.9において大きく気体の透過係数が変化しない条件を見出した。現在、ZIFフラグメント修飾を行っている段階であり、今後、気体透過特性がどのように変化するかを把握する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究のコンセプトは、ゼオライト膜におけるゼオライト細孔の壁面にイミダゾール誘導体を導入することにより、細孔の実効サイズのコントロールとイミダゾール誘導体の配位子を変更することにより目的に応じて、細孔径や親和性を細かに制御することである。当初の計画では2年目から3年目にかけて、膜への応用として、ゼオライト膜合成及びこれに対するZIFフラグメント修飾を行い、単成分ガス透過試験とパームポロメトリーにより細孔径を評価することとしていた。本年度はゼオライト膜として、ZSM-5膜(10員環)、とFAU膜(12員環)を調製し、Znイオン交換条件の検討とイミダゾール修飾条件の検討を行った。Znイオン交換条件とイミダゾール修飾条件についての指針を得ることができ、次年度につながる有意義な知見を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、得られた知見をもとに、ZSM-5膜およびFAU膜にイミダソール修飾を行う。また,ZSM-5膜についてはZn以外のカチオン種を内包する膜を作製する。ゼオライト膜細孔内へのZIFフラグメント形成,イオン半径の異なるカチオン種の導入で、膜物性や気体透過特性へどのような影響を及ぼすかを把握する。また、多種多様なイミダゾール誘導体による親和性・拡散性の評価、予測が必要になるため、分子動力学(MD)によるシミュレーションなどによる計算結果に基づき、気体透過のメカニズムの解明と予測技術の確立を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
計画通り執行していたが、交付額と支出額に差異が生じた。少額であるため、当初の計画から大きな変更なく、物品費等で使用する予定である。
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