ゼオライト担持レニウム触媒によるメタンの酸化反応を検討した。ゼオライトとして、MOR、ZSM-5、FER、Beta、Y、CHAを検討したところ、O2/メタン比0.16の比較的還元的な条件ではRe/FERを除きいずれの触媒も良好な選択性で一酸化炭素と水素を生成した。しかし、酸素分圧を高めるとRe/MORのみが高い活性を示した。各触媒のH2-昇温還元測定を行うと、Re/MORが最も低温で還元され、活性な低原子価種を保ちやすいことが示唆された。 一方で、Re/CHAを用いて酸素分圧が高い条件で反応を行うと、酸素が残存している条件にもかかわらず、一酸化炭素が収率6%、選択率80%で生成した。これは、部分酸化の進行を示唆している。水素収率が0.4%と低いため、恐らくフォルメート中間体を経て、それが分解することで一酸化炭素が生成するのではないかと考えている。 低原子価のレニウムを保持しやすいRe/MORを用いてメタンからのメタノール合成を試みた。メタンと水蒸気を流通させて反応を行ったところ、350℃の条件でメタノールが速度2.0 mol/mol-Re・hで生成した。本触媒はC-H結合を活性化する能力が高く、メタノールが安定して存在できる比較的低温でメタンのC-H結合を切断することができたのではないかと考えている。なお、化学平衡は逸脱していない。比較のため、合成ガスのメタノールへの変換に高い活性を示す銅を用いてCu/betaを調製し、同じ反応に用いたところ、メタノールの生成速度は0.3 mol/mol-Cu・hであった。レニウムの方が活性が高いことが分かった。 さらに、アダマンタンの酸化反応を実施した。その結果、ReOCl3(PPh3)2を触媒とし、過酸化水素を酸化剤に用いると、比較的良好な選択性で2級のC-H結合を酸化でき、フォトレジスト原料として重要な2-アダマンタノンが得られた。
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