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2021 年度 実施状況報告書

メカノキャタリシスによるリグノセルロースの低分子化・一括合成

研究課題

研究課題/領域番号 21K18853
研究機関九州大学

研究代表者

高垣 敦  九州大学, 工学研究院, 准教授 (30456157)

研究期間 (年度) 2021-07-09 – 2023-03-31
キーワードバイオマス / メカノケミカル反応 / 固体触媒 / 酸塩基触媒
研究実績の概要

再生可能資源のひとつとして木質系バイオマスがある。国内の森林資源環境の保護や林業の活性化、自然災害への対策を考えた場合、木質バイオマスは積極的に利用されるべきである。本研究では、新しいプロセスとして、木質系バイオマスから単糖、ギ酸を合成するグリーンプロセスの構築を目指す。ギ酸は小分子であり、原料は糖類の種類に依存せず、また、代表的な水素キャリアであり、触媒を用いると温和な条件で高効率な水素発生が可能である。さらに、ギ酸は木質系バイオマスの約3割を占める芳香族高分子のリグニンを解重合できる。
木質系バイオマスからギ酸への一括変換を達成するため、初年度では、単糖グルコースからギ酸への酸化的反応について検討した。過酸化水素を酸化剤、酸化カルシウムを固体触媒として用いることで、グルコース転化率99%、ギ酸収率45%を得た。活性は、固体の塩基性に大きく依存し、塩基により触媒される逆アルドール反応によるC-C結合切断の寄与、酸化反応によりカルボン酸となる反応機構等を反応速度論的解析により明らかにした。繰り返し反応では活性が徐々に低下したが、これは水酸化カルシウムへの構造変化に起因した。焼成により再生することで活性は元に戻った。このように安価な単純酸化物を利用することができ、再生処理も容易であった。また、新たな固体塩基触媒として多孔性窒化ホウ素の合成を行い種々のキャラクタリゼーションを実施した。2種類の窒素含有化合物を混合して合成することで、表面積や細孔容積が大幅に増大し、また表面官能基が増加した。テスト反応としてのクネーベナゲル縮合反応において活性が向上した。今後糖変換に展開する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

糖からギ酸を合成する触媒の開発はほぼ順調に進んでいる。ただ、リグニン由来分解物の分析は煩雑であり、生成物の定性および定量分析の準備に時間がかかっている。

今後の研究の推進方策

メカノケミカル反応によるリグノセルロースの一括変換を進めていく。各反応ステップの触媒開発は今年度実施した。今後、一括変換システムの構築および反応メカニズム解析と活性向上を行う。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] Mixing Nitrogen-Containing Compounds for Synthesis of Porous Boron Nitride for Improved Porosity, Surface Functionality, and Solid Base Catalytic Activity2022

    • 著者名/発表者名
      Takagaki Atsushi、Nakamura Shohei、Ashimura Shu、Yoshida Masaaki、Song Jun Tae、Watanabe Motonori、Hayashi Shigenobu、Ishihara Tatsumi
    • 雑誌名

      Applied Catalysis A : General

      巻: - ページ: accepted

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Oxidative Conversion of Glucose to Formic Acid as a Renewable Hydrogen Source Using an Abundant Solid Base Catalyst2021

    • 著者名/発表者名
      Takagaki Atsushi、Obata Wataru、Ishihara Tatsumi
    • 雑誌名

      ChemistryOpen

      巻: 10 ページ: 954~959

    • DOI

      10.1002/open.202100074

    • 査読あり / オープンアクセス

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公開日: 2022-12-28  

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