研究課題/領域番号 |
21K18854
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
野村 琴広 東京都立大学, 理学研究科, 教授 (20304165)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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キーワード | 固定化分子触媒 / 協奏機能触媒 / 精密リビング重合 / 触媒設計 / 星型ポリマー / Bottlebrushポリマー / 精密表面修飾 |
研究実績の概要 |
本課題は特異な協奏機能が発現する反応場を形成する集積型固定化分子触媒の設計・合成と環境低負荷型の精密合成プロセスへの適用に関する。特に申請者独自で開発した錯体触媒によるリビング開環メタセシス重合により、形状・組成を緻密に制御した星型・球状・ボトルブラシ(bottlebrush)型の特異形状ポリマー表面に機能の異なる錯体・活性化剤を担持し、集積化による特異な協奏機能が発現する反応場の創製による革新的な精密合成プロセスの開発を目的としている。2021年度の代表的な成果は以下の通りである。 モリブデンーアルキリデン触媒によるノルボルネンのリビング開環メタセシス重合により、末端に各種オリゴチオフェンを導入した星型ポリマーを合成し、開始剤断片(フェニル基)との空間的相互作用(πスタッキング)による特異な発光挙動について、各種分光測定により解明を試みた。特に蛍光強度は使用するオリゴチオフェンの鎖長や置換基に依存すること、星型ポリマーでは直鎖状ポリマーより無輻射減衰速度定数の増加と蛍光寿命や蛍光量子収率の低下が見られることを明らかにした。この知見は、表面における相互作用解明の基盤となる成果である。 本課題を達成するための重要技術である、ポリマー鎖を側鎖に有する環状オレフィン(ノルボルネン誘導体)のリビング開環重合において、独自触媒であるバナジウムーアルキリデン触媒を用いることで、従来触媒(MoやRu触媒)では不可能であったポリマーのオレフィン二重結合の2つの立体規則性(cis及びtrans)の制御が可能となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本課題の基盤となる分枝数の多い溶媒可溶な星型ポリマーの精密合成と末端官能基化(表面修飾)手法に加えて、ポリマー鎖を側鎖に有するモノマー(マクロモノマー)の立体特異性リビング技術についても、独自の触媒により所定の目途を得ており(学会発表済)。学術論文を眼止める段階にある。今後はこの特徴を活かした材料合成に展開できる可能性が高い。独自のバナジウムやニオブ触媒については、国内外で高い評価を得ており、インパクトの大kな成果が期待される。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画に従って、課題を進める予定である。
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