研究課題/領域番号 |
21K18855
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
山添 誠司 東京都立大学, 理学研究科, 教授 (40510243)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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キーワード | 金属酸化物クラスター / キラル分子 / 不斉合成 / 塩基触媒 / 反応場制御 |
研究実績の概要 |
本研究目的を達成するために、課題1 電解酸化を用いたキラル分子-金属酸化物クラスター複合材料合成法の開発、及び、課題2 塩基触媒による炭素-炭素結合生成を伴う不斉合成反応の開拓、を行う。2022年度は「課題1 電解酸化を用いたキラル分子-金属酸化物クラスター複合材料合成法の開発」における、複合材料の合成とその物性解明、および、「課題2 塩基触媒による炭素-炭素結合生成を伴う不斉合成反応の開拓」に取り組んだ.以下に成果の概要を記載する。 【課題1 電解酸化を用いたキラル分子-金属酸化物クラスター複合材料合成法の開発】 2022年度は本研究のキーとなるキラルカチオン分子と強塩基触媒である金属酸化物クラスターアニオンの複合材料の合成法を確立した。キラル分子としてキラリティの異なるカチオン(R体;N-Benzylcinchonidinium(Ndi),S体;N-Benzylcinchoninium(Nni))を用いて、カチオン交換法によりアニオン性金属酸化物クラスターNb6O19とのイオン性固体の合成に成功した。ESI-MS、元素分析、FT-IR、UV-Vis、CD測定により、目的の物質が合成できていることを確認した。 「課題2 塩基触媒による炭素-炭素結合生成を伴う不斉合成反応の開拓」 課題1で合成した触媒を用いてNb6O19の塩基触媒作用を用いた不斉合成反応への応用を試みた。CO2固定化反応等を実施し、反応が進行することを確認した。生成物の同定は今後行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
キラル分子-金属酸化物クラスターの合成に成功しただけでなく、触媒反応が進行することまで確認することが出来ており、当初の予定以上に研究が進んでいる。最終年度は反応開発に集中する。
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今後の研究の推進方策 |
本研究目的を達成するために、課題1 電解酸化を用いたキラル分子-金属酸化物クラスター複合材料合成法の開発、及び、課題2 塩基触媒による炭素-炭素結合生成を伴う不斉合成反応の開拓、を行う。これまでの研究で、課題1については合成法を確立することができた。最終年度は種々の触媒を合成しつつ、課題2の反応開拓中心に研究を遂行する。 課題1 電解酸化を用いたキラル分子-金属酸化物クラスター複合材料合成法の開発:すでに2022年度で確立した触媒合成法を用いて、他のキラル分子-金属酸化物クラスター複合触媒の開発を行う。Nb6O19よりも強塩基性なTa6O19やNbサイトをTaで置換した(Nb,Ta)6O19等を用いて複合触媒を合成する。 課題2 塩基触媒による炭素-炭素結合生成を伴う不斉合成反応の開拓:pKaが20以上の炭化水素化合物やエステル、ケトン、芳香環等の官能基が付いた化合物のC-H結合を超強塩基触媒でプロトンとして引抜き、オレフィンへ求核反応することで炭素-炭素結合生成反応を進行・開拓する。求核攻撃を受ける炭素が不斉炭素となるので、多価アニオン金属酸化物クラスターのクーロン力により活性サイト近傍に強く引き寄せられているキラルカチオン分子が作り出す不斉反応場を利用し、エナンチオ選択的な炭素-炭素結合生成反応を達成する。他にもニトリルやアミン化合物への二酸化炭素固定化反応を用いて不斉反応が進行することを実証する。
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