プラズマ工学と触媒化学のユニークな融合により,液中プラズマ法を応用した独創的な触媒調製法を構築することを目標として本研究を遂行した.プラズマ放電によって水溶液中に発生する電子・水素・酸素・OHラジカル等の高エネルギー反応種を利用して,常温で高速物理化学反応を進行させ,これまで困難であった清浄表面を有しサイズ制御された金属ナノ粒子助触媒を合成した.具体的には,液中プラズマ放電システム(一対の金属電極と直流パルス電源から構成)を構築し,プラズマ放電条件や,水溶液の導電率を制御しながら電極からナノ粒子を定常的に生成させるための条件を整理した.また,プラズマ放電中のUV-visスペクトルその場測定によって,生成する金属・合金ナノ粒子のサイズ・化学状態に関する知見を得ることによって,1 nm~数十 nmまでのサイズで銀などの金属ナノ粒子を得るための方法論を確立した.また合成した金属ナノ粒子を助触媒として半導体光触媒に担持する方法についても検討した. 上記の方法で得た固体光触媒を,人工光合成反応(水による二酸化炭素還元反応)に応用した結果,この反応が進行し,一酸化炭素,水素,酸素が生成した.光触媒反応活性に大きな影響を与えるナノ粒子助触媒の化学・電子状態(価数など)やサイズについてXAFS,FT-IR,UV-Vis拡散反射測定などの分光分析法やTEM測定を駆使した複合分析によって詳細に調べた.これにより,助触媒のサイズや化学状態,電子状態が,反応活性に及ぼす効果を解明し,高機能光触媒調製のための合理的設計指針を提示することができた.
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