研究課題/領域番号 |
21K18865
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分28:ナノマイクロ科学およびその関連分野
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
青木 伸之 千葉大学, 大学院工学研究院, 教授 (60312930)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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キーワード | バレーホール効果 / バレー流 / ゲート制御 / 遷移金属ダイカルコゲナイド / 2次元物質 / 非局所電圧 / モアレ超格子 |
研究成果の概要 |
本研究ではバレー流の電気的制御を目的として,単層のMoS2を用いてホールバー素子を作製し,素子全体を覆うバックゲートに加え,ホールバー上に局所的に変調するためのスプリット型の局所ゲート電極を導入し,バレーホール効果で発現する非局所電圧がどのように制御されるのかについて調査した。その結果,バックゲートの掃引で観測される非局所電圧は極低温で単一のピークを取るのに対し,20Kでは明瞭な2つのピークとなることが明らかになった。また,局所ゲート電極に負電圧を印加することで電極直下が空乏化し,その結果非局所電圧は急激に減少することがわかった。この結果,バレー流が電気的に制御できることが明らかになった。
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自由記述の分野 |
半導体物性
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
2次元物質で観測されるバレー流は,ベリー曲率によってKとK'のバレーに依存した異常速度が付与されることで発現するバレーホール効果によって運ばれる。バレーによって互いに逆向きに進行するため正味の電荷の移動がキャンセルされ,無散逸での情報の伝達が可能となることから,超低消費デバイスの実現が期待されている。しかし,バレーホール効果の電気的な制御のみならず伝導特性による観測自体の例も少ないのが現状である。本研究では,局所ゲート電極の導入によってバレー流の伝達と遮断の切り替えを観測し,静電電気的な制御が可能であることを明らかにした。これらの成果はバレートロニクスの実現のための一歩となったと考える。
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