単結晶材料は分子の配列が一義的に決まり、構造-物性相関を議論するのに最適である。しかしながら結晶サイズの制御は難しく、また取り扱えるほどの強度を実現するためには数百nm程度の厚さは必要となる。一方、有機材料は一般にキャリア密度が小さく、電気を流しにくい。ドーピングすることでキャリア密度を増やすことができるが、単結晶構造そのものの物性と異なってくる。本研究では単結晶を20 nm前後の薄片に切り出すことで、ドーピングなどをすることなく、単結晶材料の電気物性を評価する手法の開発を目指している。特に極性結晶やキラルな半導体単結晶を構造秩序を乱すこと無く薄膜化することで構造物性相関を明らかにすることを目指している。 本年度は有機単結晶の薄膜化に挑戦した。当初薄片を作成するとどうしてもヒビが多数入ってしまい、薄片として取り出すことが出来なかった。その後、様々な硬度を有するレジンに結晶を閉じ込め、ミクロトームで荒加工し、ウルトラミクロトームで超薄片の作成を試みた。ダイヤモンドナイフの送り出し速度等を最適化することで最終的に数十nmの薄片の作成に成功した。ただし、結晶によって作成できる薄片の厚さが異なっており(薄すぎても厚すぎてもだめ)、現在最適化を行っている。また超薄片を電極に載せた際に電極とちゃんとコンタクトを取れているか現在確認している。概ね問題なさそうであるが、種々の基板を試し汎用性を評価している
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