研究課題/領域番号 |
21K18905
|
研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
松浦 基晴 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (40456281)
|
研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2023-03-31
|
キーワード | 全光論理回路 / フォトニックアクセラレータ / 半導体光増幅器 / 周波数チャープ |
研究実績の概要 |
次世代の光コンピューティング技術として,電子回路技術が持つ大容量の並列処理やメモリを組み合わせ,光が得意とする演算処理に全光回路を活用することで,処理速度を抜本的に加速化させるフォトニックアクセラレータの取り組みが進んでいる.この中で,光領域で光デジタル信号の論理演算を可能とする全光論理回路が重要な役割を果たすことが期待されている. 本研究では,同一の回路で構成される全光論理回路において,入力される光信号パワーや光フィルタ特性などのパラメータを低速の電気信号で制御することで,様々な論理演算を選択的に動作可能なリコンフィギャラブル全光論理回路を提案する.応募者らの独自技術に応用されている周波数チャープ現象を深く追求し,動作速度100 Gbit/sを越える全光論理回路の実現を目指した. 今年度は,半導体素子と光フィルタで構成される論理回路を構成し,詳細な入出力特性の評価を実施し,論理動作に必要なパラメータの要件を明確化した.これを基に,同一構成でANDおよびNOT動作が可能な全光論理回路を構成した.それぞれの論理動作に必要な入力光パワーおよび光フィルタのシフト周波数を最適化し,ANDおよびNOTでの論理動作が行えることを実証することに成功した.一方,出力信号の品質については,消光比や強度揺らぎなどに改善の余地がある.また,今年度はANDおよびNOT動作のみであったが,より多くの論理動作が可能な構成の検討等を進めていく..
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究課題開始時より予定していた再構成可能な全光論理回路を実際に構成し,ANDおよびNOT動作の実証に成功することが出来た.使用した半導体素子や光フィルタによる制約も見られず,予想に近い論理回路動作を実現することが出来た.来年度以降も順調な進捗が進められる目処もたっており,より充実した成果を目指して研究を継続していく予定である.
|
今後の研究の推進方策 |
今年度は当初の予定通り,再構成可能な全光論理回路を構成し,その実証実験に成功しているものの,出力信号の品質については,未だ改善の余地がある.光増幅器の配置や挿入損失によって発生する信号対雑音比の詳細な評価も実施し,出力信号高品質化に取り組んでいく.また,今年度はANDおよびNOT動作のみであったが,より多くの論理動作が可能な構成の検討等を進めていきたいと考えている.
|
次年度使用額が生じた理由 |
年度末に参加予定の学会出張に旅費を計上していたが,新型コロナウイルス感染拡大の影響で学会がオンライン開催となったため,次年度への繰越としたため
|