研究実績の概要 |
当初は18F-Boronophenylalanine (18F-BPA)と有機蛍光色素をBPAに結合させた蛍光プローブの合成を行い比較実験を行う予定であったが研究開始が新型コロナ感染症の影響を受けて、後ろ倒しとなり、18F-BPAの合成に手間取っているため、グルコースを対象としたプローブの比較を更に進めて論文を出版することを目標として、性質の異なる複数の細胞、RWPE-1(前立腺)、RWPE-2(前立腺がん)、MKN45(胃がん)、SKOV3(卵巣がん)を用い、RIおよび蛍光体を用いたグルコース誘導体の細胞内取り込みの比較実験を行った。RIプローブは、①PET薬剤の18F-FDG、蛍光プローブとしては、②2-NBDG、③2-DG-750を用いた。18F-FDG はグルコースの2 位の水酸基を18F で置換した化合物である。2-NBDG はグルコサミンのアミン基が7-ニトロベンゾフラザンに置換された化合物、2-DG-750 は1蛍光分子あたり4 分子のDG が含まれるよう設計された1000 以上の分子量を持つ化合物である。プローブとグルコースを欠如させた接着状態の細胞をインキュベート後、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)による洗浄を3回実施し、細胞内部に取り込まれたプローブの定量を行った。この結果、RWPE-1に取り込まれた量は、①4.10%, ②0.02%, ③0.00%といずれも少なかった。RWPE-2では、①27.45%, ②0.02%, ③0.00%、MKN45では、①43.19%, ②0.02%, ③0.00%、SKOV3では、①30.59%, ②0.00%, ③0.00%といずれも18F-FDGが細胞内に大きく取り込まれていた。これより、細胞内への取り込みはRIプローブと蛍光プローブで大きな差異が生じていることが明らかになった。
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