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2022 年度 実施状況報告書

「量子インスパイアード」アルゴリズムによる相対論的量子化学の開拓

研究課題

研究課題/領域番号 21K18933
研究機関大阪大学

研究代表者

水上 渉  大阪大学, 量子情報・量子生命研究センター, 准教授 (10732969)

研究期間 (年度) 2021-07-09 – 2024-03-31
キーワードクリフォード回路 / フェルミオン影像法
研究実績の概要

近年発展の著しい量子情報の知見を導入・援用した量子「インスパイアード」アルゴリズ ムにより、相対論的量子化学のための電子状態理論の開発が本研究の目的である。研究方法としては、化学系の量子コンピューティングで使われる電子系から量子ビット系への変換を軸として、ニューラルネットワークの高い表現能力を利用したニューラルネットワーク量子状態(NQS)を使うことと、量子情報で使われるスタビライザー状態の利用という2つを軸として進めている。2年目である2022年度は、スタビライザー状態を生成・利用するためのクリフォード回路に関する研究をおこなった。クリフォード回路は、量子重ね合わせをもつ量子状態を生成するが、古典的に効率的にシミュレート可能な量子回路として知られている。まず、このクリフォード回路を最適化するための枠組みであるCAFQAと呼ばれる方法を実装した。粒子数保存などの対称性を利用した回路を利用し、その回路パラメータの離散最適化をおこなうことで、化学の問題により適したものを実装することを目指した。また、派生研究としてフェルミオン影像法という技術により、量子コンピュータ上の波動関数から効率的に高次のRDMを構築し、MRCIのような多参照理論に基づく量子化学計算を実効する方法も提案した。クリフォード回路の古典コンピュータ上での量子化学計算への応用については、クリフォード回路シミュレータと相対論的ハミルトニアンを用いたエネルギー計算の実装に現在取り組んでいるところである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

クリフォード回路シミュレータと相対論的ハミルトニアンを用いたエネルギー計算の実装が完了しておらず、スタビライザー状態の量子化学計算への応用が完了していないため。これは次年度の持ち越しとなっている。

今後の研究の推進方策

2022年度に終わらなかった、クリフォード回路シミュレータを利用した量子化学計算の実装を完了し数値検証をおこなう。また、その方法をさらにNQSと接続し、その性能検証もおこなう予定である。

次年度使用額が生じた理由

クリフォード回路シミュレータを使った量子化学計算と相対論的NQSの双方において、期待値計算をおこなう実装にまで到達しておらず、本格的な計算ができる段階にまで達しなかったため。繰り越した予算を一部、PDの雇用に当て、2022年度までに完了していない作業と、論文化に必要な数値検証をおこなう予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] フェルミオン影像法によるk-RDM推定を用いた量子部分空間展開法2022

    • 著者名/発表者名
      竹森 那由多, 吉岡 信行, 水上 渉
    • 学会等名
      第47回量子情報技術研究会 (QIT47)

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公開日: 2023-12-25  

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