非平面グラフェンには、その3次元構造に由来する非中心性キラリティーをもつ分子群が存在する。それらの不斉合成は、「高い立体障害/立体歪みの克服と非中心不斉の構築」という2つの困難を有するため、有機合成の挑戦的課題であった。本研究では、直線形の芳香環パーツと馬蹄形の芳香環パーツを組みあわせた基質デザインを新たに設計し、「ひずみエネルギーを抑え」ながら「分子のベルトをねじる」合成法を立案した。この新規合成法に研究グループが開発した不斉ロジウム触媒反応を用いることで、巨大な鞍型分子を含む最大で540度のねじれをもつ芳香環ベルトの触媒的不斉合成を達成した。
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