先に我々は分子の中心にケイ素を有するヘキサヒドロシラフェナレンの合成法を確立している。そのフェニル置換体を原料とし、二酸化セレン酸化、酸触媒脱水、DDQ酸化により反芳香族性を持つ標題化合物、フェニルシラフェナレンの合成を達成した。この化合物はNMRにおいて反芳香族性による顕著な特徴を示した。 また、ヘキサヒドロシラフェナレンの合成法をゲルマニウム、スズ、リンに応用し、対応するヘキサヒドロヘテロフェナレン類の合成にも成功した。 中心に各種のヘテロ原子をもつ中性のヘテロフェナレンやヘテロフェナレニル類のNICS計算を行い、中心原子の電気陰性度と芳香族性の間に高い相関関係を見出した。
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