研究課題/領域番号 |
21K18956
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
松尾 豊 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (00334243)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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キーワード | メカノクロミズム / クロミック材料 / 圧力センサー / 圧力測定フィルム / フルオレン / アクリダン / ナノインプリント / ケルビンフォース顕微鏡 |
研究実績の概要 |
最近,メカノクロミック材料に関する学術論文の数が増えているが,それらの論文では機械的応力により色が変わったという定性的な議論に終わっている.本研究では,かけた機械的応力と色の変化や分子軌道エネルギーの相関関係を数値化し,定量的な研究を行った.応力により吸収色が変化するメカノクロミック材料であるフルオレニリデン-アクリダンの薄膜を真空蒸着,ドロップキャスト,スピンコートなど種々の方法で作成した.フィルムの定量的な機械的圧力感知特性を,ナノインプリント,拡散反射UV-Vis分光法,およびケルビンフォース顕微鏡を使用して調査した.線形の機械的圧力応答と50 nmの微細な空間分解能が得られ,機械的圧力測定にフルオレニリデン-アクリダンフィルムを適用する可能性が実証された.色変化メカニズムの理論計算研究において,応力による分子集合体の解離を伴う青色のねじれ型配座への変化と,熱や良溶媒蒸気暴露または貧溶媒との接触により分子集合を伴う黄色の折れ曲がり型配座への可逆的な戻りを示した.ポリビニルアルコールとフルオレニリデン-アクリダンを含む成形プラスチックを使用して,圧力測定プラスチックも開発した.応力により色が緑に変化した後,エタノールと接触するとすぐに黄色に戻ることが実証された.このことはエタノール接触の可視化ができることを示しており,ひいてはエタノール除菌の可視化にも繋がると考えている.メカノクロミック材料の定量的な研究を行った例を示したことで,他のクロミック材料の研究にも役立つと考えられる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
圧力センサーへの応用が可能であることを確かに示せたので順調に進捗していると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
圧力測定紙の開発を行っている.紙に混ぜてより感度の高い圧力測定紙ができつつあるので,今後はこの方向で研究を進める.
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次年度使用額が生じた理由 |
4,856円の次年度使用額が出たが,次年度に速やかに消耗品の購入で執行する.
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