研究課題/領域番号 |
21K18966
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
山口 潤一郎 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (00529026)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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キーワード | フッ素化反応 / ヘテロ環化合物 / 開環反応 / アザアレーン / 芳香環 |
研究実績の概要 |
創薬を志向した斬新な不斉フッ素化反応を開発することを目的とする。ヘテロ原子-ヘテロ原子結合(S-N, O-N, N-N結合)を含むヘテロ芳香環を求核剤、フッ素化剤を求電子剤とした開環反応によりヘテロ芳香環を「破壊」し新たな骨格へと転成させる。得られる生成物は、 (ヘテロ芳香環)-4級不斉炭素-極性官能基をすべて含む医薬品候補化合物頻出骨格である。 本研究では、ピラゾロ[1,5-a]ピリジンをはじめとする二環式アザアレーンおよびイゾオキサゾールなどのヘテロ芳香族化合物にSelectfluorを作用させることで芳香環開環型フッ素化が進行することを見いだした。本反応では、まずヘテロ芳香環が求電子的フッ素化剤と反応することで、フッ素が導入されたカチオン中間体を生じる。その後、脱プロトンおよび窒素–窒素/窒素-酸素結合が開裂することで開環型フッ素化体を与える。本反応は、形式的には芳香族化合物が求核剤であるものの、得られるフッ素化合物は芳香族フッ化物ではなく第三級フッ素化合物を与える新形式のフッ素化反応である。本反応は広範な二環式アザアレーンおよびイソオキサゾールに適用可能であり、医薬品誘導体などの合成終盤での変換も可能であった。さらに、得られたフッ素化体の誘導体化により、多様な含フッ素骨格を合成できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
すでに二環式アザアレーンおよびイゾオキサゾールの開環型フッ素化反応を論文として報告することができた。本関連研究もすでに成果がでており、当初の計画以上に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
継続して環状化合物の結合切断を伴いフッ素を導入する開環型フッ素化反応を開発する。また、このフッ素化反応から得られた知見をもとに、トリフルオロメチル化、ジフルオロメチル化、さらにはトリフルオロメチルチオ化などに挑戦し、含窒素化合物をふくむフッ素化合物の新輝合成法を開拓する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度はすでに予備研究を進めていていた関係で、試薬、ガラス器具、精製資材などは揃っていた。また新型コロナの影響で学会出張費を計上することがなく、関連する機器、資材等も他の研究費で購入したものを使用できた。今年は、より広範囲に反応を開発していくため、試薬、ガラス器具、精製資材の大幅な購入が必要となる。また、各種スペクトルを測定するための機器類は揃っているが、利用のためには高額な機器使用料がかかる。そのため、物品費、その他として機器使用料などの形状を予定している。
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