研究課題
トリボルミネッセンスとは摩擦刺激により結晶が発光する現象である。本現象が発見されたのは約400年前であり、これまでに様々なトリボルミネッセンスを示す有機化合物・無機化合物が報告されてきた。本現象は高エネルギー励起源を用いず力学的刺激で発光エネルギーを獲得することができるため材料化学の観点から注目を集めている。今まで希土類錯体結晶を用いた強いトリボルミネッセンスの発現に成功してきた。本研究では摩擦刺激により蓄光機能を示す希土類錯体結晶の創成を目的とした。(i)希土類錯体結晶の摩擦刺激による配位子蓄光フルオレン骨格を導入した二座ホスフィンオキシド配位子をジブロモフルオレン原料から、二段階反応で合成した。得られた配位子と2,2,6,6-テトラメチル-3 5-ヘプタンジオネートが配位したガドリニウム錯体と錯形成反応を行うことでガドリニウム二核錯体を合成した。このガドリニウム二核錯体は室温条件においては摩擦励起により蓄光機能を示さなかったが、低温条件(液体窒素温度)においては摩擦励起により青色の蓄光を示した。(ii)希土類錯体混晶の摩擦刺激による長距離エネルギー移動に基づく希土類蓄光(i)と同様のフルオレン骨格を導入したガドリニウム錯体結晶の中に4f-4f発光性ユウロピウムをドープした混晶を合成した。この混晶も室温条件では摩擦励起により蓄光機能を示さなかったが、低温条件において摩擦励起により青白い蓄光を示した。スペクトル解析により、この青白い蓄光は配位子およびEuのリン光に由来していることが分かった。このEuに由来した長寿命発光は混晶内の遅いエネルギー移動に基づいていると考えられる。
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