研究課題/領域番号 |
21K18985
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
中嶋 秀 東京都立大学, 都市環境科学研究科, 准教授 (10432858)
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研究分担者 |
手嶋 紀雄 愛知工業大学, 工学部, 教授 (30292501)
東海林 敦 東京薬科大学, 薬学部, 准教授 (90459850)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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キーワード | 表面プラズモン共鳴センサー / 電気化学SPR / 脂質二分子膜 / 膜融合 / エクソソーム |
研究実績の概要 |
(1) マルチチャンネルSPRセンサーの開発 LED光源から放出された光を平凸レンズで平行光線にした後,シリンドリカルレンズを用いてその光線を10°の角度幅を持った状態でプリズム上のセンサチップに線焦点を結ぶように入射し,その反射光をCMOSイメージセンサーで検出するマルチチャンネルSPRセンサーを開発した。さらに,このSPRセンサーチップの金薄膜を作用電極として用いる電気化学分析システムを構築した。これにより,SPR測定と電気化学測定を同時に実施することが可能になった。
(2) 脂質二分子膜を固定化したSPRセンサーチップの作製 SPRセンサーチップ(BK7/Ti 3nm/Au 45 nm)の表面に,benzyldisulphide-TEG-OHとbenzyldisulphide-PEG-phytanylを用いて自己組織化膜を形成した。次に,脂質混合溶液 (EggPC:コレステロール) ,16 mM フェリシアン化カリウムおよび 150 mM KCl の混合溶液 (pH 7.4) を順次添加し,自己組織化した金チップ表面に脂質二分子膜を形成した。この脂質二分子膜固定化センサーチップに,グラミシジンA 溶液とシトクロムc溶液を順次添加したときの,SPRシグナルの変化とイオン電流の変化を同時に測定することにより,SPRセンサーチップの金薄膜表面に脂質二分子膜が形成されていることが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1) マルチチャンネルSPRセンサーの開発 開発したSPRセンサーを用いて,SPR測定と電気化学測定を同時に実施することができたため。
(2) 脂質二分子膜を固定化したSPRセンサーチップの作製 SPR測定と電気化学測定により,SPRセンサーチップの金薄膜表面に脂質二分子膜が形成されていることが確認できたため。
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今後の研究の推進方策 |
(1) SPRセンサを用いるエクソソーム膜タンパク質の定性・定量法の開発 センサーチップの金薄膜表面に脂質二分子膜をアレイ化したSPRセンサーチップを作製する。次に,脂質二分子膜アレイの各スポットにエクソソームを含む試料溶液を滴下し,エクソソームを脂質二分子膜に膜融合させる。続いて,測定対象となる膜タンパク質の抗体を各スポットに滴下する。このときの各スポットにおけるSPR シグナルの変化を測定することにより,エクソソームの膜に存在するタンパク質の種類と量を評価する。
(2)呼気凝縮液中に含まれるエクソソームの分析 -15℃に冷却したアルミブロックにシリンジをはめ込み,ストローで息を吹き込むことにより呼気凝縮液を得る携帯可能な呼気凝縮液サンプラーを開発する。このサンプラーを用いて呼気凝縮液を採取し,呼気凝縮液中に含まれるエクソソームを本研究で開発したマルチチャンネルSPRセンサーを用いて分析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
試薬の納品が遅れたため余剰金が生じた。この余剰金は次年度の物品費と合わせて試薬の購入に使用する。
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